2010年代の鉄道の総括、2020年代の鉄道の展望 | 鉄道きさらんど

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いつも列車・バスなど公共交通の事ばっか考えてます。

日本には元号があるので改元で時代の変化の大イベントが終わったように思えてしまうが、西暦で考えると2019年の終わりは2010年代の終わり、20年代の始まりで世界的に大きなイベントといえる。

 

鉄道ブログなので日本の鉄道の2010年代をざっと振り返るとこんな感じ?

 

・やはり、なくなるものが多くお別れイベントやさよなら運転、葬式鉄に注目が集まった。

  • 路線だと東急渋谷駅の地上駅、整備新幹線開業に伴って分離されるJR並行在来線(路線は残るが、JR線としては終わりなので)、留萌線末端区間、江差線非電化区間、三江線などJR線と、それ以外の地方鉄道事業者路線の廃止
  • 列車だと客車寝台列車、整備新幹線の並行在来線を走る在来線特急、大阪直通しなのに代表されるJR会社またぎの在来線特急、地方路線の系統分離に伴う直通列車、国鉄型車両や民鉄の旧世代の車両の引退
  • サービスなどソフトな面ではJRプッシュホン予約、JR列車を中心とした車内販売、地方駅では売店そのものや駅弁業者の撤退、廃業や駅弁業者自体は残っても車内販売や駅構内営業からの撤退、駅ナカ店舗のブランド変更に伴う旧ブランド名(ハートイン→セブンイレブン)

 

・新しく開業する路線や就役する車両、新しい列車名の誕生や大幅な改良

  • 路線だと北陸新幹線長野‐金沢間、東北新幹線の整備新幹線区間、北海道新幹線新函館北斗以南、上野東京ライン、おおさか東線新大阪-鴫野間、相鉄新横浜線西谷-羽沢横浜国立大間、成田スカイアクセス線の開業や函館線新函館北斗―函館間や武豊線電化、東急東横線とメトロ副都心線の直通など
  • 車輛だと旧世代車輛の置き換えだが、JRだと国鉄型をJR型で置き換えるだけでなく今やJR型をJR型で置き換えるのも珍しくなく、民鉄などでも昭和世代の車両を平成世代の車両で置き換えるだけでなく平成世代の車両も新しい平成世代の車両で置き換えるのも珍しくなく令和世代の車両もデビューしている。
  • サービス面では大都市圏での駅ナカや駅ビルの新設や発展が目覚ましく、供食サービスは従来的な都市間列車でのワゴン販売や食堂車が廃れる一方完全事前予約制の着地型での観光列車でのレストラン車輛などが全国に広がった。出札はIT化が進み有人窓口が減る一方指定席券も券売機で押さえる時代となり、2010年より前からJR東日本のkaeruくんという原形があったアシストマルスが東日本以外の各社にも本格普及した。改札に係員が不在の代わりにインターホンでの応対や駅集中管理システムによる省力化システムを取り入れる路線や駅が増えた。ネット予約の選択肢が広がり、会員が急増した。

・路線や駅の〇〇周年(場合によっては〇〇〇周年)記念キャンペーンやイベント

 

全体的には新たに現れるものよ去っていくもののほうが目立った10年だった。また技術やサービスの変化はもちろんあるが緩やかになっている印象がある。事業者の都合での省力化などが進みその一環で新車置き換えが進むが、減車や座席減(地方選区でのロングシート化)を伴い、画期的なサービス向上よりそういうネガティブな面が目立つことも。また民鉄はともかくJRでは新形式も減ったような・・・。JR北海道だとふた昔前にデビューした261系の増備が進んでいるし、JR東海は10年代にデビューした純粋な新形式の在来線電車はなく、前世紀に現れた313系の増備が続いた。技術革新がゼロ年代までにかなり行きついたからといえ、純粋な新形式やデラックスなアコモの新車にワクワクする機会は減った。またJRでは発足30周年や令和への改元の年を迎えてもまだ国鉄型ばかりの区間も結構あるし、大手民鉄でも五輪景気や東京一極集中の恩恵を受ける関東私鉄は目覚ましい変化があるが、関西私鉄は結構古い車両が残っていて、デビューから半世紀以上現役の形式もまだあるくらい。東京圏とそれ以外の地方では技術の進歩もダイヤやサービスの改良でも格差が露骨に広がった。JRだと西日本の減量ダイヤ、北海道のローカル線の極限までの減便やJR九州の本社のおひざ元の福岡都市圏までも減便したりとか。

 

わが名古屋エリアでも、JR東海はさすがに経営が盤石だから余裕のダイヤ改善を繰り返したが、名鉄は関西の会社と違い愛知県がアベノミクスによる輸出産業好況での地元の活況による利用増加に対して飛躍的な車両やダイヤの進歩はさほどではなかったと思う。まぁ名鉄の目覚ましい改良が見られるのはリニア開業とそれに伴う名駅再開発に合わせてだろうが。このエリアで苦言を呈したいのはネット予約の普及が著しく遅れたこと。JR東海在来線は平成の終わりの今年4月になってから、しかもJR西のe5489に乗っかかる形での導入。名鉄ネット予約は令和になってからの5月だった。あまり人口のわりに鉄道利用が2大都市圏ほど活発ではないし、あまり列車で出かけたがらないご当地気質があるとはいえ、よそで当たり前のネット予約が普及するのがあまりにも遅かった。

 

2020年代の鉄道は、リニア中央新幹線や、九州新幹線長崎ルート、北陸新幹線金沢―敦賀間、東急相鉄直通線など新幹線や首都圏の通勤路線は延伸するが、地方路線の縮小はドンドン進みそうではある。並行在来線3セクの経営も深刻になるだろうし、地方の鉄道をみすみすなくしてしまわないようにみんなで危機感を持つ必要があると思う。車両面では、速さだけではなく自動運転化等さらなる省力化が求められる時代が来るだろう。個人的な趣味的関心だと、近鉄の通勤電車はの新形式はいつ出るのか?名鉄特急の新形式は?とか、最後に残る国鉄型は何系?ということや、JRでの液体式気動車の最後の新車はいつ出るのか、とかそういうことを気にしている。

20年代に鉄道業界が利用客目線でやるべきことはやっぱり、ICカードをJR会社またぎで自由に使えること、JRネット予約の全国的統合、この辺だろうなぁやっぱり。