交通政策基本法が成立・施行したが | 鉄道きさらんど

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いつも列車・バスなど公共交通の事ばっか考えてます。

・成立した政府案は国際競争力向上や開発促進を強調して原案よりナショナルミニマムな交通アクセスの保証については後退しているが国交省はコンパクトシティとモーダルシフトを推進しているし鉄道業界だけの損得を考えれば成長戦略を盛り込んでよりよくなったと言えるのでは。
・普通に最低限の交通手段を平等に国が確保するというだけなら、バスやタクシーがありさえすればでいい訳だし、もともと基本法を推進していたのは離島のフェリー会社とかで、大手鉄道会社は「事業者の責務」のくだりなどが経営の自主性を損なうと批判していたので。(たとえばJR東日本の民主党の交通基本法原案への見解はここ。ただし同じサイトにリンクが張ってあるJR貨物の見解は好意的なトーンだし、両社とも事業者に責務を課すなどの規定以外の文言、国交省が推進するモーダルシフト・コンパクトシティには賛意を述べ、総合交通体系を確立し高速料金値下げの見直しを求めることは同じ。)
・それが、政府案でかえって成長戦略に乗っかってLRTや新幹線建設を後押しできるかもしれないようになった。大手鉄道業界も事業者に足かせをはめるかのような規定以外の諸施策は望むところだったし、両備に限らず経営者側の人にも納得しやすい内容に交通政策基本法はなった。
・また、RACDAの理事長も両備の社長も部分的にでも自分たちの主張が反映されて実を取れれば交通権の明記にはこだわらないようだし。
「権利というとなんとなくそれを振り回して云々、という意識が実は交通基本法の成立を非常に遅らせたと思っています。(中略)それで議論百出をして、交通政策基本法 が、前に進まないということの方がより問題が大きい。」http://www.ryobi.gr.jp/kojima_pdf/qasession131112.pdf)

ところで与党の武井俊輔議員のブログに、国交省の自民党議員への法案のレクの様子がかかれている。「地域交通を守るための方策について議論。地域交通を維持することにより福祉予算がどの程度削減できるかの可視化による国民広範の理解の促進、種子島屋久島航路(採算の良い高速船を運航する場合不採算のフェリーも併せて運航する義務)のような地域交通を担う事業者への義務と特典の明確化、通学バス(私立高校も含め)の混乗の促進などを提案。バス議連の役員でもありますので、現場での経験を活かし、バス事業者がやる気をもてる政策実現に努力して参ります。」とのことだが、黒字路線を持つ事業者に赤字路線を担当させようとする発想は面白い。鉄道は内部補助は時代遅れだと大手事業者から赤字路線を切り離すのに賛意一色の時代にフェリーだとこういう発想、本四高速の赤字もネクスコが面倒見るようだし鉄道のほうが何が何でも路線単体で自立経営できなければという考えにとらわれているのでは。スクールバスやゴルフ場のバスなどを公共交通ネットワークに組み込むという発想も大事だ。