中央リニアの話 | 鉄道きさらんど

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いつも列車・バスなど公共交通の事ばっか考えてます。

新聞報道では、山岳・大深度地下のトンネルは直径13mだそうだが、最高速度500kmの列車をチューブ状の軌道を目いっぱい加速させればすれ違い時の風圧はものすごいのでもっとトンネルを大きくしないといけないかもしれない。また、大深度地下だから都市部で用地取得がいらないといわれているが、5kmごとにエレベーター付きの斜坑を設けるとなればそこは出口で地上権を設計しなければならないし、愛知でも東京・神奈川でも高級住宅街だと騒音や振動問題も相まって地権者との交渉が難航するだろう。そうなれば今の試算の通りの建設費では済まないと思う。この手のプロジェクトでは建設費が当初より必ず膨れ上がっているし、名古屋まででも7~8兆円台になったりして。これから原材料や建設コスト(被災地でも入札不調が続いているし・・・。)が高騰することはこれまでの計画では想定されていると思えない。


また、明かり区間(要は高架)でも、フードを付ける分もちろんコストはかかるし、景観がどうこうというレベルの話ばかりしている人が多いが、高速道路と同様に数十年さきの維持管理や取り替えのコストが発生することを計算に入れているのだろうか。真新しいコンクリートのフードは出来立てのみれば「おお!」と思うが、時間がたてば表面が黒ずみ、コケや草が生してみっともないことにもなりかねないし、高架橋は20m以上の高さとなれば日照に支障が出るのでこれまた近隣住民への補償でもめるだろう。


それでも、資金調達はJR東海の会社の信用と高い買い物の末に手に入れた東海道新幹線という優良伊資産の担保があるのであまり心配はないんだが、要はだれがどういう条件で貸すかという話になると思う。昔の国鉄も道路公団も、新幹線・高速道路の建設の際に民間でリスクをテークして低金利で貸してくれるところがなかったから、財政投融資から高い金利で借りて利払い負担に耐え切れず破たんしたわけだし、JR東海は政府系金融機関にこだわらず(今のご時世に官が無利子か低金利でいち企業に気前よく巨額の融資というのも国民感情にそぐわないしね)民間から資金調達を検討するだろうが、東海道新幹線の収益が生産年齢人口の減少で長い目で見れば伸び悩む時代には足もとを見られて市場金利にさらに高いプレミアム付の条件で借金せざるを得ないだろう。リニア開業後の運賃収入が好調でも、利払いに苦しみかねない。


来年着工にこぎつけてもすんなり14年後に開業とはいかず、想定外のことだらけで建設が難航し、営業運転にこぎつけてもだいぶ後になることもありうる。大体高速道路も鉄道も当初の予算と工期で収まった話ってあんまり聞かないのでね。