「では、はじめましょうか」

「はい」

 

先ほどと何ら変わらない作法で

2セット目の座禅が始まりました

 

次に警策が来られたら

打たれることに決めたので

多少、心は安定していますが

 

心に壁のないタイプの

和尚様と☆サシ☆という

状況に、1セット目とは

違う緊張感があります

 

緊張の為、より頑張って

集中しようとしたのか

それとも2セット目だからか

意識が前頭葉に強く集中するのが

わかります

 

そして、面白いことに身体の感覚が

なくなりました。

 

微動だにしないのですから

身体がどこにあるのかを

確認できる感覚が

なくなったのです。

 

自分が意識のみの存在となるのは

新鮮な感覚でした。

 

能は歩く禅と言われますが、

常に身体を使っていたり

板の間に座って

痛覚を感じているので

身体感覚がなくなることは

ないと言えます

 

集中した意識のもとで

半眼に映る景色が

ゆらいだり光ったりするのは

朝観たインスタレーションにも

通じるものがあり

一種の快感でした

 

さて、和尚様が立ち上がり

警策を持たれます。

静かに歩いてこられる

どのタイミングで合掌をしよう~

和尚様はどう思われるかな~

と、内心むちゃくちゃてんぱっていますが

無事警策を求めることができました

 

教えられたように両腕を交叉させ

胸の前で組んで

姿勢を低くしますが

ネットからお借りした画像

 

低さが足りなかったようで

「もう少し低く(と言われたような?)」

と、背筋を指先で抑えられたのですが

 

そのときのお声の響きと、抑えられ方が

極めて優しく、厳粛で。

 

「あ、これは聖なるものを授けられる儀式のあれだ」

と。和尚様の心が伝わるような気がしました

 

バシバシッ☆彡

バシバシッ☆彡

右二回、左二回。

乱れのない美しい音。

打面は平坦なので、

痛いと言っても平手打ちの痛さでした。

 

身体を起こし、和尚様に合掌をして

座禅を続けます。

 

両方の肩甲骨あたりがピリピリする~

と、痛みを感じつつ

もとのように集中してみたところ、

またまた不思議な感覚に。

 

前頭葉に集中し、身体感覚はすぐになくなるのですが

打たれたピリピリ感が残っているので

意識が偏らないのです。

 

意識は自然に分散されて

半眼に映る景色は絵画のように

クリアで、それに伴い心も安定しました

間違いなくこれはピリピリの効果でした

 

次第にピリピリが消えていった頃、

和尚様が再び警策に立たれました。

 

先ほどの感覚を確認したい!!

という強い目的意識を持って

もう一度警策を受けることにしました

 

内心は「痛いの好きとか思われてたりして。あ~理由をご説明したい」←煩悩っぽいです

 

1度目と同じクリアな視界と

心の安定を体験できました。

 

座禅の時間が終わり、般若心経を唱和させて頂き、禅堂を出ます

 

「ありがとうございました(*^_^*)←私」

「……福山から来られたんですか?」

「……広島から来ましたが大阪に住んでいます」

「……」

「では頑張って写経からお抹茶に回ります

貴重な経験をさせて頂きありがとうございました<(_ _)>」

「頑張ってください!」

 

煩悩がどうとか無我がどうとか

そんなお話も禅のお話もありませんでしたし

自分が能をやっていて禅に興味があって

などというお話をする必要も

ないような気がして。

 

思い出すほどに

和尚様への感謝の気持ちで

いっぱいになる、初めての座禅体験でした

 

   神勝寺 一日禅体験レポート その⑨ 写経とお茶席へつづく