【本】『卒業のための犯罪プラン』を読んでコンゲームを知る | ミステリな日常。

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 先日『卒業のための犯罪プラン』(浅瀬明)を読んだ。

 第22回『このミステリーがすごい!』大賞の文庫グランプリ受賞作。

 あらすじは公式サイトから引用。

 

 ビジネスセンスを備えた人材の育成を目指す木津庭商科大学では、学食等での支払いのみならず、家賃の支払いや単位の売買にも使用できる「ポイント」を獲得するため、学生たちがしのぎを削っていた。

 そうした大学において、サークルは、共通の趣味のために存在するのではなく、事業を行うために存在していた。

 家庭の都合により、突如残り半年で卒業しなければならなくなった2年生の降町歩は、不正にポイントを稼ぐ者たちを摘発する「監査ゼミ」に所属する。

 家庭教師サークルを装いガールズバーを運営していると噂が出ているサークルに調査に行くが、逆に取り込まれ……。

 単位は買ってでも取得しろ。

 大学卒業をかけた、一世一代の大仕掛け!

 

 というお話。

 あ、感想に少しだけネタバレになりそうな部分があるかもしれないので、気を付けて。

 

 大学内で事業を行い「ポイント」を獲得し、それを使用して大学生活を送っていくという設定が面白そうで読んだ一冊。

 主人公は2年生の降町歩。

 卒業するには単位が足りず、それをポイントで何とかするために行動していくうちに、いろいろと巻き込まれていく。

 最初は巻き込まれていくタイプの主人公に見えたけれど、読み進めていくうちに、そうでもないなと。

 どちらかと言うと、その状況も利用して、あっちについたり、こっちについたりするタイプに見えた。

 サークル調査に行き、そこで熊倉凛子たちと組むようになるが、彼女にもあまり共感できず。

 こういう設定だから、あまり共感できる人物は登場しないのかもしれない。

 むしろ、そんな自由に生きる登場人物たちを眺めて楽しむお話なのかも。

 主人公の母親が終盤に登場するのだけれど、その母親にも共感できず。

 えー、もうどう読んだらいいのか、わからないよ。

 

 今更ではあるけれど、こういう内容のものをコンゲームというらしい。

 詐欺師などが、騙したり騙されたりする内容が中心の物語。

 確かに騙し合いの物語だった。

 解説では「仮想通貨を使った学生たちのコン・ゲームの中で描かれる魅力的なキャラクターと多様な心理」と書かれていた。

 魅力的なキャラクターか。

 ……いたかな?

 更に解説の中で主人公は「実は冷静に状況を判断する目を持ち合わせている」と書かれていて、驚かされた。

 え、そうなんだ。

 私の苦手な熊倉についても「最初は計算高そうな印象のある熊倉も少しずつ可愛げが見えて憎めないし」とある。

 え、そうなんだ(再

 個人的には、主人公の先輩の黒河のキャラクターが好き。

 むしろ、黒河の物語だと思えば、あり。