下宿生の子どもが難病になった──そんな母親の気持ちと気付きを綴ります。

…必要な誰かの、心に届きますように。


「冬来りなば春遠からじ」


若い頃から、私が支えにしてきた言葉のひとつです。

そう、元はと言えば

5年付き合って結婚も考えていた遠距離恋愛の相手に

現地でできた彼女と結婚する、と言われた頃、

夜、犬の散歩しながら泣き崩れそうなのを

必死で支えようとして、心に浮かんだことばだった

無気力

無気力

無気力



コホン


お昼に、北陸のイチコから届いた動画。

窓に当たる霰の音がします。



寒いと、からだが縮こまって

肩が凝るし、からだもくたびれる…




大学院2年のイチコ。

さっき送ってきたLINE。


おしるこでも作ってやりたいけどね…



親は、子にしてやれることなど

笑顔をみせることと、好物を作るくらいしか

ないのかもしれない。


いや、それで充分なのかもね


…そばにいる時に。



離れてると切ない。


先日、隣市の中心街へ行った際

買って帰りたいものがあり

以前よく利用したスーパーマーケットに寄りました。


そのスーパーはサンベエが今年1月まで通った、

中学受験塾のすぐ近くにあります。


久しぶりだな〜

ここで買い物しながら、サンベエを待ってたな…

よく、帰りのバスで飲むペットボトルを買わされたものだ^_^





サンベエは へなちょこで、毎度のように

「塾に迎えに来て」と言うし

(私は30分強歩いてその街へ行き、滞在10分ほどで、

一緒にバスに乗って帰ってました)


私に迎えに行く余裕がなく、1人で帰らせると

サンベエは何度かバスで爆睡して

うちの最寄りバス停を素通りしてしまい…

バス停で待ってた私は、泡食ってバスを追いかけ

爆走したことが何度もあったので

(いや〜…あれは泣きます、マジで。

電話かけても起きないし。

そんな目に遭うのが嫌で、迎えに行ってたのです…)




…当時まだ私は大阪で車を運転するのが怖かったです。

サンベエの通塾は路線バスを利用。行きは1人で行かせてました。

でも、、当時私が車を運転してたとしても、

「車で塾の送迎」ってなんだか抵抗がある。

私自身が小学生の時、家に車がなく

親が私に付き添う余裕もなく

ひとり電車通塾してたせいもあるけど、


なんだろう…私は子どもに、

「してもらって当たり前」な優越感のようなものを

植え付けたくなかったのかな。





現在中1の

サンベエの中学受験の道のりは

平坦なものではありませんでした。



男の子は中学受験で心が壊れることがある──

どこかでそう聞いたことがあったので

私は、お尻を叩いて受験に立ち向かうといったことは

決してしたくなかった。


自分の中学受験の時に、体を壊したせいもある。

今でも、血液検査で腎臓だけ値が悪いことが度々あり

当時の余韻なのかと思うことがあります。



サンベエは幼い頃

場面緘黙に近いようなところがありました。

(今も、その傾向は少し残っています。)

3歳児健診で、医師や保健師に何を聞かれても答えず

本人の前で私は医師に、"余計なこと" を言われました。

就学前検診では、名前を聞かれても

サンベエは頑として答えませんでした。


小学校に上がってからも

街中でクラスメイトに声をかけられても

返事ができず、顔を背けていました。



はしめてのことに出会すとパニックになりました。

行き慣れたはずの習い事の教室、

1人で行って、電車内で読書に夢中になり乗り越してしまって

引き返したものの、

いつもの駅の出る出口を間違えて迷子になったことがあります。

キッズケータイで電話してきたけれど

泣きじゃくって、私の道案内を理解できなかったのです。

その日の習い事は諦めて、電車で帰らせたのは

小4の時でした。



また、自分にコンプレックスがあることには

"クラスの子が自分を笑ってる"

と言って、登校を嫌がりました。

リコーダーや、運動会のダンスの練習がある時は

頭が痛いと言って、月に何日学校を休んだかわかりません。






3年生の2月から通うのが「普通」らしい中学受験の世界。

…いや、1年生から始まってたりしますよね。


サンベエは自ら受験を希望して、4年の2月から通い出しましたが

算数がついていけず、度々、登塾しぶりを起こしました。



憂鬱そうに家を出てバスに乗って行ったものの

授業が始まって10分くらい経った頃、

「まだ来られてませんが…」と塾から何度、電話をもらっただろう。


サンベエのキッズケータイに電話しても出ず、

とりあえず塾のある街まで駆けつけると

バス停のベンチで俯いてぽつんと座っていたっけ。


私「どうする?2時間目から行く?」

サンベエ「……」

私「とりあえず、ココアでも飲もうか。」

近くのカフェに入り、何も聞かず時を過ごし

やっぱり行けなくてバスに乗って帰ることが何度もあった。


塾には状況を伝えていたので、

面倒見のいい担当の先生のサポートもあり

だんだん、2時間目から行けるようになり


小6、受験直前の冬期講習は、

皆と同じ一律の授業ではなく

併設の個別指導塾に、授業を組んで通うことに。



「大手塾のお仕着せ」から外れることは、私は構わなかったのです。

サンベエの自信を失わせないためには、

一斉授業じゃない方が良い。という確信がありました。

ただ、私たち親子が自己責任で授業数を選んで組むことが

ものすごいプレッシャーではありましたが。




塾の先生には、感謝しきれないほどお世話になりました。

私は、勉強を教えることは放棄していました。

塾の先生にお任せしたのです。


結果としてそれが良かったと思います。

子どもが家庭でホッとできることが何よりだから。



「親塾」で中学受験を乗り切った方を時々見聞きしましたが

親御さんが相当、忍耐力と人徳のある方なのだろうな…。

(そして子どもも素直な子、という相性の問題)




親御さんも

我が子が躓いていたり、

他の子と違うカリキュラムになったとしても

決して焦らず咎めず

子どもを信じて見守ってあげてください。






どうかどうか




これからの寒く厳しい季節


街は浮かれてるけど、子どもや学生には試練の季節、



暖かい環境で、心を緩める場を得て

乗り切って欲しいと切に願います。



必ず、希望の朝は来るから。


そして私やイチコにも、

難病通告が笑い話になる日がきっと来る。