ー「劇、おでんはじめて物語」の練習ー
ダイニングキッチンで宿題をする姉たち。
厚紙で作ったちくわぶの被り物を被る凌。
「おでんはじめて物語」の台本を持ち、はんぺん→こんにゃく→しらたき→たまごの親分を全力で代役を務める母(笑)
そして、こんぶ役の芹沢先生(笑)
凌は放課後の劇の練習をサボって帰宅してしまい、芹沢先生が自宅まで来て練習をさせられていた。
ちくわぶのセリフ。
凌:「ぼくは、ぜったいに、あきらめませーん。」
凌:「いいなづけがいても、かまいませーん。ぼくは、あなたと、いっしょになりたい。」
はんぺんちゃんにはチーズくんというパートナーがいるがしつこく口説くちくわぶくん(笑)
凌:「ぼくは、そうはおもいませーん。はんぺんチーズはたしかにおいしい。でも、あなたはおでんとしてもじゅうぶんにやっていけるはずです!」
芹沢先生(こんぶ):「しつこいぞ、ちくわぶ!!」
凌:「…こんぶくん。」
こんぶくんに大根も口説き落としたとチクられるちくわぶ(笑)
凌:「それがなんだっていうんだい?」
常に真顔で棒読みの凌ちゃん!
この言い方がかなり可笑しくて!!
1番笑いも可愛いもキュンキュンも多かったシーンではないかな。
熱演している母を眉間にシワを寄せながら見てるドン引き凌ちゃんも可愛かった(笑)
その後、母と芹沢先生の熱演は続く。
荻野目さん、さすが!!
そして、たまごの親分がおでんの中でしか生きられないちくわぶの存在を否定するセリフがあり…
すると、凌は様子が段々と変わり、自分のセリフの番なのに黙ってしまう。
母:「ほら、凌ちゃんの番よ。」
先生:「セリフ忘れたのか?確かににぼくには使い道がない、だ。」
凌:「わかってるよ。」
凌:「…やりたくない」
と、突如、自分の部屋に閉じこもってしまう。
学芸会当日が近くなってナーバスになっているのかと心配する母。
凌は部屋に戻り、ちくわぶの被り物を雑に脱ぎ捨てる。
そして、勉強机の引き出しから野球ボールを取り出す。
そのボールを見つめ、その場で上に投げてキャッチする、を繰り返す。
その顔が、ものすごく切なくて。
前も書きましたが、ボールを見る目がかなり印象的。
瞬きがぱちり…ぱちり…ってゆっくりになったり。そっとまつげを閉じて伏し目がちになってたり。
その表情、切なすぎました。
この劇の最後はどうなるの?と質問する冴。
芹沢先生は、いじめられていたちくわぶは、通りすがりのちくわに助けられる。
その助けてくれたちくわが実はちくわぶの父だったという話をする。
…固まる母。
凌も、部屋のドア越しから、母の様子を察知する。
おでんが食べたくなったと言う准に、母は冴と准に買い出しを頼む。
姉たちが外出した後、芹沢先生は父と会って来たことを母に話を切り出そうとする。
先生:「あのですね…」
凌:「パパにあってきた」
先生が切り出す前に、部屋から出て母に伝えた凌。
凌:「パパのとこ、いきたい。いってもいい?」
芹沢先生は、凌に話す順番が違うと焦りながら、2人で自ら父の職場に出向いたことを母に告白する。
すると母が初めて感情をあらわにする。
母:「何て事ことしてくれたんですか…
やっと、普通の生活に戻ってきていたというのに。おねえちゃんも、凌ちゃんも・・・」
芹沢先生は凌のことを思って…と言うが、
母:「もううちの家族のことは放っておいてください。凌ちゃんを可哀想だと思わないで」
と、声を震わせながら伝える。
母は、立ちすくむ凌に問いかける。
母:「凌ちゃん、パパは何て?」
凌:「おかあさんにりょうかいとってこいって。」
母は、凌の手を握りながら。
母:「…了解なんてしない。するわけがないわ。
先生、今度あの人に会うことがあったら伝えてもらえますか。もう凌ちゃんには会わないで欲しいと。それでいいわよね、凌ちゃん。」
凌:「・・・。」
母:「いかないで・・・お願い・・・・。
ずっと、ここにいて。
お母さんと一緒にいてよ。凌ちゃん・・・・」
凌は、母に見られないよう、そっと握りしめていたボールをパーカーのポケットにしまう。
こっそりと…
「・・・・・・。行かないよ。
どこにもいかないから。」
幼い、8歳の凌。
本当はお父さんのところに行きたいのに。
泣く母を見て、ぐっとガマンして。
どこにもいかないよ、と伝える。
ここ、苦しかった…。
その凌の反応を見て、悲しそうに笑う母。
このあと、映像が映し出される。
過去の回想シーン。
中学生の冴は、中学卒業後は調理師の免許も取れる住み込み寮付きの所で働くと言う。
母は、「お姉ちゃん、せめて高校だけは…と」説得するが、働きながらだから金銭的負担も無い上に資格も取れる、自分が出て行けば凌も部屋が持てると、母の言うことに聞く耳を持たない冴。
高校卒業式の准は、大学進学と同時にこの家を出て就職した冴と2人で暮らすと言う。
進学資金も「これは借りただけだから、ぜったいにいつか返すから」と。
「ここから通えばいいじゃない」「お金も気にしないで」と提案するも、「自立したいの。これ以上母さんに迷惑かけたくないから」とこちらも聞く耳を持たない准。
「だからって、ここを出て行かなくても。お姉ちゃんと戻ってくればいいのに…」
2人の娘が家を出ていってしまうことで寂しさを隠しきれない母。
そんな母の後ろ姿を。
凌はずっと、見てた。
ずっと…
姉たちがいなくなって。
凌と2人きりになってしまった家。
テーブルを拭きながら、
母:「みーんな、出て行っちゃうわね」
凌:「そうね。」
母:「凌ちゃんはずっとここにいていいいんだからね。迷惑だなんて思わないで。好きなだけここにいていいのよ。」
優しくうなづく凌。
一気に元気が無くなっていく母。
そんな姿を、凌は見ていた。ずっと。
映像が次々と映し出される。
卒業式。
文化会。
マラソン大会。
学芸会の劇。
それらは父がいなくなってからも撮影し続けていた自分たちの映像。
それを黙って見る凌。
(袖をまくりながら。)
そして、ズボンのポケットからケータイを取り出して、電話を掛ける。
凌:「もしもし、父さん?今話せる?」
歩きながら袖へ。
暗転。
次のシーンへ。
次は、母の娘たちの会話と、凌が父を連れてくるシーン。