4部作完結

北条遥さんの 【リアクト】【リライブ

 

 

およそ200年以前の人類史は 全て捏造・フィクション

現在盛り上がっているオルタナティブ歴史研究・通称マッドフラッド

200年以前には 現代人類が生存していた証拠も根拠もない

何処かから一から大量生産された クローン人間の群れこそが現代人類―――

 

突拍子もないけど完全否定もしきれない ただどうしようもなく「信じたくない」が沸いてきてしまう

今ここに自分が生存しているのだから 作り出すために何十億年の試行錯誤があってしかるべき

省みるとかなり無神経で傲慢だけど 少なくとも目の前のティッシュペーパーよりは複雑で価値があるとの無根拠な自信がある

それなのに……あまりにも簡単だった たったの200年程度でしかなったガッカリ感

事実なのだから飲み込むしかない 飲みこまなければ幻想に騙され続けるだけ

そんな厳しげなことを言われたらそうするしかないけど やっぱり納得しきれないものは残る

200年ぽっちしか歴史がなく しかも試験管でちょちょいのチョイで作れられたんなら

自然や地球に対して感謝や尊敬を抱くのは 魂からの本能じゃなくて金持ちの道楽と言えてしまう

自然破壊や猛毒まみれにしては地獄にしてしまうのは 悪魔の所業と言われるほどの裏切り行為じゃなくなる

動植物を殺戮しては家畜にして悲惨な目に合わせてもへっちゃらで居続けられるのは よその者の移民だったからとも

何十億年も迷走しながらもたどり着いた答えとして 自分が今生きている

「彼ら」が支配のために捻り出した魔術の一つだったとしても それ以上の「正しさ」を感じられる

その幻想には 事実よりも未来を作る力があるような気がしてならない

たとえ誤ちであったと分かっていても 「信じたい」以上の「正しさ」ゆえに 70億の信者を集められたのかもしれない

 

……大幅に脱線してしまったけど 言いたいことは

時間というのは幻想でしかなくて 物質やエネルギーとして宇宙のどこかに存在してるわけじゃない

人類の想像物でしかなく 紡いで維持できるのは寿命の200年が限界ギリギリ なのかもしれない

それ以上の時間を求めるとなると ほかの動植物や鉱物・星とのつながりを受け入れる必要がある

人体は地球から借り受けた一部なのだから 難しいことでもない

ただ 今使わせてもらっている人体が崩壊しても己を保ち続けることは 難しい

ソレを可能にするために開発されたのが 神話や物語・それらに含まれている倫理感や道徳観も

受け入れて実在を確信することができれば 200年の限界も突破できるはず

 

あるものをなぞるだけ じゃなく 自ら作り上げていくもの―――

時間はそんなふうに捉えることで はじめて正しく使いこなせるのかもしれない

_