購入したプラスチックのピルケースに

1週間ごとに薬を入れるスタイルが

しばらく続いた。

まったくうまくいってはいなかったが、

それを続ける他に方法を思いつかなかった。



よくあるカレンダーの形のものは

1日に1ポケットなので、

朝夜2回を入れるのには向いていなかった。

それに、ひと月ごとなので

ちょうど月の変わり目に

薬をセットし直す必要があった。


月が変わらなくても

翌月の分を入れてしまえば良いのだろうけど、

今日が何月何日かわからないじいちゃんに

それはわかりにくいのではと思った。



じいちゃん本人に

「薬を飲まなければ」という意識が

まったく定着していかないことに

私はずっとイライラしていた。

薬を飲むように促すのだが、

1日に2回はけっこうな負担だった。

こちらも確実に全部飲ませるというのは

どこか諦めていたようにも思う。



今となってはどのくらい続けたか

忘れてしまったけれど、

退院して半年とか1年で

ステロイドの服用は終わったと思う。

その後は認知症のための薬と

頻尿のための薬が残った。

1日に1回の服用で済むように希望し、

それが叶った。


その頃にひとつの方法を閃いた。

それは、普通の紙のカレンダーに

直接薬を貼り付けるやり方だ。

初めは保険会社だったかな?

どこかの企業からいただいたものが

じいちゃんちに複数ある中で、

一番大きなカレンダーを利用した。


錠剤のシートを1錠ずつにカットし、

マスキングテープでカレンダーに

1日ごとに貼り付ける。

こうすれば、月の境目など関係なく

予めいくらでも貼り付けておくことができた。

それに、このやり方だと電話口で

「○日の分を飲んでね」

というのが伝えやすかった。


毎朝電話をして薬を飲むように促す習慣は

この頃から始まったように思う。

後にごみを自発的に集積所まで

持って行くことをしなくなってきた為、

朝の電話で薬とごみ捨てを

伝えるスタイルが定着した。



だいぶスムーズではあったが、

それでも問題はあった。


私が電話したときに調子よく

「朝ごはん食べたら飲むよー」

とかなんとか言って

カレンダーから薬を剥がすのだが、

テーブルに置いたまま飲まないのだ。


そうなると、

いつ飲んでいつ飲んでないのかが

わからなくなる。


私は次なる一手を考えた。