共同親権の訴訟の判決を受けて①の続編です。

 

 単独親権は違法だと政府を訴えた訴訟で、東京地裁は「違憲とは認められない。共同親権については、国会の議論を見守る」と言った判決を出しました。

 「離婚後の子に対する共同親権を、又は共同親権の選択を認めるか否かについては、(中略)国会による合理的な裁量権の行使に委ね、その行使を待つ段階」(判決文の(3)憲法14条1項違反についての(イ)から引用)とされています。

 

 「ハーグ条約の違反かどうかは裁判所で判断できない。国会で具体を決めてください」といった内容となっています。

 ご存じの通り、憲法では裁判所と内閣は独立した存在と明記されています。しかし、その一方で、最高裁判所の人事の決定権は内閣が定めるとされています。最高裁判所は、下級裁判所の人事権を有していることから、高裁・地裁などへの判例に大きな影響を与えます。

 つまり、地裁の判事が自分の良心で判決を出そうとしても、内閣の意向に沿わないと最高裁判所の役職に就くことができない・最高裁判所の人事権で、内閣の意向に反する判例を出した場合、適当な理由をつけて出世のポストを与えないといったことが横行していることに気づかなければなりません。

 

 国際的な視点で見れば、昨年の7月にEU議会で「単独親権が子供の連れ去りの温床となっている」と日本が名指しで非難決議をされ、毎年のように国連から、「ハーグ条約を守れ」と非難されています。

 単独親権のメリットとすれば、親権が片親へ集中します。つまり、面会交流を決定するのも「親権が持っている親ができない」と言われればそれですし、子供の養育環境を知りたいといえば、「親権を持っていない親に教える必要はない。しかし、養育費は民法で定められているのだからお金だけは払ってください」と言った制度なのです。

 親権を取得した親にとっては、利権をすべて手放すものでありわからなくもないではありません。しかし、「元夫がハラスメントをするから子供に会わせられない」・「(自分が不貞行為を隠すために)夫に殴られました。生活費を渡してくれませんでした」などと虚偽の主張を重ねて、単独親権を主張しているのは、見逃してはならないことなのです。

 

 「単独親権」を主張されるときには、連れ去られた親や子供との面会がままならない親のことを考えてから発言するべきです。自分は「親権を持っているから単独親権がいい」といった主張は自分の無知を曝け出しているのと同じです。