占い師兼作家と名乗っておきながら、このところずっと、占い師としての活動ばかりが続いていました。

実はわたし、学生の頃から、オリジナル小説や詩を書いていまして。ですからライターとしての出発点は創作なのです。ファンタジーやSF、童話、ミステリー、いろいろ書いてきました。

 

でも、書いてお金をいただけるようになったのは、占い原稿が先でした。

占いの原稿……いわゆる実用書ですね……を書くようになった当初は、違和感があったんですよね。

「今書いている内容、わたしのオリジナルじゃないけどいいのかな?」って。

もちろん、わたしの文章でわたしが書くのは当たり前なのですが、もとになる資料があるわけですよ。12星座の牡羊座の性格はこう、と決まってます。ルノルマンカードの意味も決まってます。ジオマンシーシンボルの意味も決まっています。決められた資料をどう読み込んで、どう分かりやすくまとめるか、そこらへんが工夫のしどころなのですが、だからといって牡羊座の性格をわたしが好き勝手に決めるわけにはいかないのですよね。

 

登場人物のキャラクターや世界観はすでに決まっていて、それをどう動かすか?という意味では二次創作に近いのかもしれません。

オリジナルじゃないという部分に、最初は慣れなくて違和感があったのですが、何冊も書くうちに慣れました。

 

そして今回、

ホラー&ダークファンタジー専門誌

「ナイトランド・クォータリー」の怪談特集号への短編の依頼を受けて、結構久しぶりに創作を書くことになりまして。

キャラクターも世界観も、1から、いえ、ゼロから作るわけです。創作ですから。

それが楽しかったはずなのに、久しぶりすぎて。

「え、怖い」

と思いました(怪談だからじゃなくて…!)。

ゼロからわたしが作る……あまりにも自由すぎて、なんでもありなことに、とまどってしまったのでした。

 

怪談という、書き慣れないジャンルだったこともあり、怖い話を書こうとして、怖がらせるためにどう作ればいいのか考え始めたら、なんだか、何も書けなくなってしまって……。

「カイダンってナンダッケ?」

 

結局行き着いたのは、わたしが好きだった、「赤い蝋燭と人魚」や「夜叉が池」……人ならぬ者の、どこか切ない、物悲しい話でした。

すると、少女が蛇を棒で打ちすえている場面が、セピア色の映画のように脳裏に浮かびました。

「少女は何をしているんだろう? 蛇は? これからどうなるの?」

創作しようとするのをやめたとき、物語が、すぅっと降りてきました。

そして出来上がった、わたしなりの怪談が、今回掲載された『罪』です。

お楽しみいただければ幸いです。

 

 

ナイトランド・クォータリーvol.23 怪談 (KWAIDAN)―Visions of the Supernatural

ホラー&ダークファンタジー専門誌

「ナイトランド・クォータリー Vol.23」

怪談特集です。

表紙と巻頭カラー特集の九鬼匡規さんの美人画が、本当に美しいです。引き込まれます。表紙は蜘蛛女。

読み応えたっぷり、冬の長い夜に、古今東西の怪談はいかがでしょう。ゾクゾクして眠れなくなりそうなので、温かい飲み物と一緒にどうぞ。

 

創作と実用書の文は違うという話ですが、でも。

何かゾーンに入っている時って、実用書の文でも、どこからか湧き出てくるように、書けるときがあったりします。

 

これからも、創作も実用書を、両方とも書いていきたいと思います。

 

 

今年1月に出た子供向け怖い話アンソロジー

↓「きゃー、みんなの怪談」に

高橋桐矢の「鬼歯」という短編が掲載されています。

(そしてなんと!実は本書には、LUA先生の短編も掲載されているのです!!!)

キャーッ!みんなの怪談

 

こちらも↓創作。

占い師の娘として生まれた女の子が、占い好きな男の子と出会って、占い師を目指すようになるお話です。

占い師のオシゴト (偕成社ノベルフリーク)

 

 

高橋桐矢の本