(2004年2月24日に個人サイトにアップしたエッセイを改稿したものです)


「占い師に一番大事なのは常識」と言ったら、

違和感あるでしょうか?


けれど、実際に面接で占い師を採用する占い事務所が最も重要視するのが、常識があるかどうかなのです。


占い師に対して、普通じゃない別世界の論理で生きている人、というイメージを持つ方もいると思います。

ある意味では占いは、宗教のような思想体系とも言えるでしょう。

現代日本に住む多くの人は、「科学」(これも、科学教という宗教だと考えることもできますね)という世の中のことわりを共有しています。

ですから、科学的に説明できない「占い」の世界観に対して、「自分とは違う世界」と思うのも、当たり前のことだと思います。 


西洋占星術なら西洋占星術の、四柱推命なら四柱推命の、長い年月を経て作り上げられた独自の世界観があります。

占いによってそれぞれ違いますが、輪廻転生や、シンクロニシティ、目に見えず感じることも出来ない因果の糸で結ばれた縁…などを、あるものとしての世界観ができあがっています。

「見えない、感じられない、科学で検証もできない」世界を、あるものとして語る占い師は、ある意味では、

「異世界に片足突っ込んで」いると言えるのかもしれません。


けれど、「両足突っ込んで」はいないのです。

いけないのです。


毎朝のラッキー占いをチェックしている方は少なくないと思います。

占いで前世は○○だったというたぐいの話は楽しいし、試験やここぞというときのお守りやラッキージンクスに励まされた方も多いでしょう。

占いで悩みを解決したり、あるいは、純粋に面白がったり、楽しんだり、びっくりしたり…。

そういう占いとの関わり方は、健全だと思います。 


けれど、恐がらせてモノを売りつけたりするような場合。

このお守りを買わないと不幸になる、など。あるいは、常識で考えておかしい場合。家族を捨てて出家すべき、とか。

そして、他人の不幸や生死にかかわる場合。

そんな占いは間違いなく「ニセモノ」です。 


占い師は、世の多くの人とは違う思想体系を知っていますが、占い師、占いのお客様、どちらも、この現実世界に生きています。


たとえば、

ある占いでは陰毛が強力なお守りになります。

でもこの世界観を共有していない相手にいきなり陰毛を送りつけるのはいかがなものでしょうか。ただただ気持ち悪いだけでしょう。

あるいは、たとえ不倫相手と前世で夫婦だったとしても、今世ではそれぞれ別のしがらみを持って生きています。「前世で夫婦だった」とただ告げてもなんの意味もありません。


この世で生きるために、どうすれば幸福になれるのかを、「現実的に」考えていくのが占い師の仕事です。


片足を異世界につっこみつつも、きちんと、現実を認識していなければ、アドバイスできません。


「占い師の仕事は8割の常識と2割の霊感」くらいに思っていただいていいと思います。


占い師は、「人の不幸で食べている」職業です。

常識人として、当たり前のひとりの人間として、悩み苦しみが、この世からなくなりますようにと願いつつ、

人様の悩み苦しみをネタに食べているという、自己矛盾を常に意識しているのが占い師なのです。


今日も、読んでくださってありがとうございました。



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