其の3 - 国

以前、ハワイに行った時です。

パールハーバーにあるアリゾナ記念館に行きました。
平日の午前中から、大勢の観光客でにぎわっていました。

1941年12月7日早朝に日本の奇襲攻撃によって轟沈した戦艦アリゾナや、
戦死した人たちの慰霊碑、開戦当時の資料等が展示されていていました。

当然、当時の日本軍がいかに悪かったのかというのが根本にある作りでしたが、
日本人の僕は、いたって冷静に、写メ撮りまくりの、お土産コーナーでマッカーサーのイカしたマグカップを買って、フードコートでホットドッグを食べて帰ってきました。


広島に行って時間が空く時は、広島平和記念資料館に行きます。
第二次世界大戦で日本は広島と長崎に、原爆を落とされ、数十万の人が犠牲になりました。
人類史上、現在にいたるまで、実際に核兵器の被害を受けたのは日本だけです。

当時の被害の凄まじさ、核兵器の恐ろしさ、戦争の悲惨さを感じながら、現代に生きる者として、身が引き締まる思いがします。

資料館の外にある、原爆死没者慰霊碑の前に立ちます。前面に文字が刻まれています。
「安らかに眠って下さい　過ちは　繰返しませぬから」と刻まれています。
とても切ない思いに駆られます。
原爆を落としたのはアメリカなのに、と思ってしまいます。

全て内包して、戦争というもの自体を過ちと捉え、二度と繰り返さないという事なのかなと解釈します。

得体の知れない、ささやかなイラっと感を抱きながら帰ろうとした時、
アメリカ人の観光客らしき御夫婦から「記念写真を撮りたいのでシャッターを押してほしい」と頼まれ、「なんで僕かね」と思いながらも、ベストアングルを意識して写真を撮りました。


自宅の近くにある、いつも遅い時間に行くコンビニで買い物をした時、レジでバイトをしている中国人の王さん（仮名）にボソっと「最近、なんかすみません・・・」と言われました。
一瞬何の事だかわからなかったのですが、最近の中国での反日デモや暴動の事なのだそうで、
僕は言いました。


「ああ、まあ・・・領収書ください。」




続く。