暫く馬車に揺られていると森の奥に大きな屋敷が見えてきた。
あんな綺麗な所に自分が言ってもいいのだろうかそう思った。
「さぁ、着いたよ。今日から此処が君の家になるんだ」
架さんは僕を抱きかかえながら屋敷を指差す、とても綺麗で趣があって天国より現実的で少し暖かい気持ちになった。
「…綺麗」
ボソッと口に出してみた、暖かい気持ちになってもまだ心の底に不信感、不安が渦を巻いて底に落とされそうになる。
いつかこんな気持ちが晴れていくのかな、なんて思いながら。
「取り敢えず綺麗に洗おうか、沢山汚れてしまっているからね」
屋敷の中へ入ると架さんはそう言って沢山綺麗な服を着た人たちが止めるのを無視して暖かいお風呂に抱きかかえたまま連れて行ってくれた。
僕の翼は片方だけ歪に切れてしまっている、それを見るたびに吐き気がこみ上げて全てを拒否してしまいたくなる。
「…僕はずっと汚いんです」
架さんの綺麗にしようという言葉はきっと、僕には似合わない。
僕は本当は生きていてはいけなかったんだ、天国にいた頃にそれを実感してしまった。
だから消えて無くなりたい…。
「そんな事ないさ、俺は君を見たときにとても綺麗だと思った。確かに汚れてはいる、でもそれは日常を生きていれば当たり前の事なんだ、雛は心までも汚いんじゃないよだから大丈夫」
僕の壊れかけている心に架さんの言葉は優しく入ってきた、心は汚いんじゃない昔のままなんだと思えた。
「…あ、ありがとうございます」
小さな声で頷くと架さんはそう言えばと思い出したように抱きかかえたまま問いかけてきた。
「まだ君の名前を聞いてなかったね、そろそろ教えてくれるかな?」
「…ひ、な」
僕は少しずつではあったけど架という男に心を開いて言った、何故かこの人は悪い人ではない僕を悲しませたりしない、そう思えたから。
「雛か、此れから君は僕の大事な家族だよ。嫌になったら逃げていい、止めはしないからさ。改めてよろしく」
そう言うと架さんは優しく僕の頭を撫でて柔らかい笑みを浮かべた。
綺麗な顔をしていて僕は少しだけ見とれてしまった。
「じゃあ、洗おうか。暖かいお湯が出るからびっくりするかもしれないけど怖くないからね」
僕の服を優しく脱がせてくれて架さんも動きやすい格好になると、バスタブにお湯が張っていて其処に優しく入れてくれた。
シャワーから暖かいお湯が出てきて最初はびっくりしたけどとても心地よくてゆっくり目を瞑ってしまった。
「嫌だ…いや…お願いだから…見ないで…殺さないで…」
僕は必死に何か黒いものから泣きながら逃げていた、何かわからないけど怖くて怖くて堪らなくて逃げ回る。
そうしていると何処からか声がした。
「…な、ひな、雛。大丈夫かい?」
はっと目が覚めると其処はお風呂場では無くなっていた、何かふわふわした物の上に寝転がっていた。
目の前には心配そうに見つめる架さんの姿が見えた。
小さく頷くと架さんは安堵したように優しく微笑んでくれた。
「…ご、めんなさっ……ぅ…」
眠っていた事に申し訳なさそうにしながらいきなり起き上がって言いかけた途端吐き気がこみ上げてきた。
何も食べてないため胃液が出るだけだった、でも吐き気が消えずに嗚咽を漏らし続けた。
「雛、大丈夫だよ。いくら吐いてもいいんだ、楽になるまで吐こうな」
架さんは僕の背中を優しく撫でながら声をかけてくれる、でも僕は吐くことが嫌で嫌で首を横に振る。
でも吐き気が止まらずに只管に吐いた、暫く吐いているとゆっくりと治まってきた。
「…も、もう大丈夫、です」
胃液まみれの口元を腕で拭いて架さんに深く頭を下げる、片付けも架さんが全てしてくれて今は横になっていたほうがいいと寝かせてくれた。
如何してこの人はこんなに優しいのだろうか…。
「ならよかった、今使用人に卵粥を作らせているから出来たら少しでも食べてくれるかい?」
架さんは少し不安そうな顔をしながら問いかける。
ご飯もお風呂も架さんの好意も全てが暖かくて人間の世界はこんなに暖かかったんだと初めて思うことができた。
「…少し、なら」
ボソッと小さな声で呟くと架さんの顔は一気に幸せそうな顔に変わった、本当にこの人は僕に嫌なことを一つもしないとても優しい人なんだ。僕の事を一番に考えて悲しんだり喜んだりきてくれるんだと。
本当に信じてみたい…またそう思ったら想いが溢れてきて思わず涙目になる。
「架さん…少しだけ……信じてもいいですか…?」
一旦END
書いた人からの一言的な
急展開なのは書いた人がちょっと早く話進めたかったからです←
後々心開いた後の架雛を書くつもりではいます!
自由きままに趣味で書いてるのでヘッタクソですごめんくさい←
誤字脱字は察してください!!!!!!!!!!!
今後とも読んでくださる方はよろしくお願い致します!!