NHKの『うたコン』を見た。
私は、シャンソン歌手のクミコさんのブログをフォローさせて頂いている。ご自身のご両親の介護について投稿されていて、触発されることが多い中、今夜はこの番組で生歌をご披露されるとのことで、楽しみにしていた。
越路吹雪さん生誕百年の記念で、何人かの歌手の方が、「愛の賛歌」を始め、彼女の歌を披露された。
クミコさんは「サントワマミー」を情感たっぷりに歌われた。
恋人にふられる歌だ。
原曲のフランス語の歌詞では、ふられるのは男性らしいが、日本の訳詞では女性が〜ということになっている。
越路吹雪さんの曲を歌われた今夜の歌手の中では、クミコさんが一番良かった。
雨に濡れる庭の薔薇「ガブリエル」
その後、画面が舞台袖に切り替わり
年老いた男性が紹介された。
なんと、90歳になられた歌手の菅原洋一さんだった!
1970年に「今日でお別れ」でレコード大賞を受賞された方だ。
白いタキシードをお召しになり、かくしゃくとされていたが、お足元はいささか心配なご様子だった。
若かりし頃の映像も流れて、司会者から紹介を受けておっしゃったひと言。
「今日でお別れ」の歌唱については「年を重ねて、物事の考え方がいろいろありますよね。歌も、年を重ねるごとに、歌い方も変わってきてると思うんですよ。どんな風に歌わせるか、今日は楽しみです」
正直なところ、老いるとキィーも低くなり高音部は出にくくなるし、声の艶も無くなると聞く。大丈夫なのかしら〜と思ったのだが…
それは、杞憂に終わった。
『今日でお別れね〜 もう会えない…
涙を見せずにいたいけれど〜♪」
歌い始めから引き込まれる。
年輪を重ねた穏やかな美声と、胸に響く切ない歌いまわしに息を呑んだ。
素晴らしかった。
これも決別する恋人の歌なのだろうが、
当時17、8歳の私に歌詞の深い意味が分かるはずもない。
今や古希を過ぎた私には、最期を迎える夫婦の別れまでをも想わせた。
ふと見ると、夫まで涙している。
録画ではなく、生番組なので臨場感があり、クミコさんと菅原洋一さんの歌を聞けたこの時間に心から感謝する。
3番の歌詞が、ことさら沁みた。
今日でお別れねもう逢えない
あなたも涙を見せてほしい
なにも言わないで気安めなど
こみあげる涙はこみあげる涙は
言葉にならないさようなら
さようなら
作詞 なかにし礼
作曲 宇井あきら
追記
お時間があれば、菅原洋一さんのインタビュー記事を見つけたのでご覧になってください。日々の心がけが人生を紡ぎ出すと強く思います。菅原洋一さんの場合は歌に♪