昨日は、夫の病院診察予約日だった。
病院は車で1時間足らずなので、早朝7時半に家を出た。
1月に前立腺の生検検査をした結果を聞きに行く。
お互い?割と淡々と臨んだ。

内心予想はしていたが、五分五分と私は思っていた。本人は四分六くらいでセーフ?と思っていたのかもしれない。
前立腺癌との診断だった。
手術に向けて、これからいろいろな検査が始まる。

元々は、前立腺に不具合がありここ数年経過観察だったのが、昨年夏より腎臓の数値も怪しくなり、大学病院診察となった。
腎不全の原因を追って行くうちに、次は心臓も弁膜症が見つかる。
こうやって文章に起こすと、夫の内心はさぞかし穏やかならぬ物があったろうと思う。


年明け、夫が検査入院で留守の間に、ひとりでテレビに撮り溜めておいた昔の映画とTVドラマを観た。
黒澤明監督の「生きる」と
山田太一さん脚本の
『今朝の秋」
意図した訳ではなかったのに
二作とも癌がテーマだった。
今の様に、本人告知はしない方向の時代の話だ。とても強く心に響いた。
特に、笠智衆さんが、癌を患う息子役の杉浦直樹さんに語るセリフは胸に迫る。

「多少の前後はあってもみんな死ぬんだ。特別なような顔をするな」



その後、高齢者医療ご専門の和田秀樹医師の本を2冊速読。
現代医学に反するところもあるが、共感するところが多くあった。
「老いさらばえば、認知症と共に生きる、癌と共に生きる、病と共存することを前向きに受け止める」
おっしゃる通り!



病院からの帰路、極めて普段通りに、むしろあまりいたわりも介さず夫と接した。
やはり機嫌は良く無い。夫は少し苛立っていた。普段は、私とは真逆で喜怒哀楽の少ない人だ。私の配慮が足りなかったのだろう。


何だかこうなることを予期されていたかの様に感じるのだが、図らずも、和田秀樹医師の『癌と共に生きる」をこれから実践することになった。夫の担当医にも深刻に受け止めないようにと言われたし、老齢の男性に多い癌だということももちろん把握している。
机上では学習済みのはずでジタバタしている訳ではないが、現実は映画やドラマの様には行かず、学習したはず?の私はやはり達観出来ていない愚かな婆さんなのだ。気持ちがどこかジタバタしている。しかも夫が当の本人で、私は大事な脇役にもかかわらず…



「あるがままをありがたしと思う我が心の豊かさ」
何処かで得た私の好きな言葉だ。 
手遅れにならないうちに見つかって良かったと受け止めるだけのことなのに、
自分の貧しい心にうなだれてしまう。
しっかりしろ‼️ 脇役の私…