「あんたが魔女会から消えたろう?
その直後にシラが魔女会にサマンサとタバサを連れてきたのさ。
あのばあさん何か企んでいたんだろうけど
サマンサとタバサがあんたとやりあっている魔女だって
ミアが知ってね、えらく怒って二人は一度来たきりさ。
でも、その時からタバサはあたしを気に入ってくれてね。
それ以来のつきあいなのさ。」
「なにいってんだい。
あんたがあたしを気にいって会いたがったんじゃないか。」
どうやらマーサとタバサは毒づきあいながらも
気の置けない仲らしい。
「それで私に頼み事って?」
アリアドネがさらりと割って入ってタバサに問いかけた。
「おや、あんたからうらみつらみが出るのかと思っていたけど
どうやらその心配は無用だったかね。」
アリアドネはもう昔の話だ、とあえて口にする気もなかった。
タバサの頼み事は
《森の民を救う手伝いをして欲しい》
ということだった。
タバサの体がもうもたないところまで来ていて
これ以上の延命は無理だという。
自分の死後も森の民が領主の一族から狙われないように、と
その手伝いをアリアドネに頼みに来たのだ。
「あなたの延命で済む話なら私も術がないわけじゃないわ。」
アリアドネは秘術があることをタバサに教えていいものかどうか
躊躇したものの
タバサの話を聞いた後ではその心配はいらぬと判断し、
自分の秘密を明かす覚悟で聞いてみた。
「よしとくれ、もう疲れたよ。もう十分生きたさ。」
その言葉を聞いて
アリアドネにも思い当たる部分があり、
それ以上は何も言うまいと思った。
「そう、、、あなたがそう言うのならしかたないわね。
もちろん、マーサも納得してるのでしょう?」
マーサが話をふられて思い出したように
「納得なんてするわけないじゃないか!
あたしゃ、生きて生きてもっと生きて楽しもうって
何度も言ったさ!
言ったけど、、、」
アリアドネにも人一倍情に厚いマーサが黙っていられなかっただろうことは想像できた。
それでもタバサの気持ちを考えれば仕方のないことと
マーサもあきらめたのだろうか。
マーサはミアが死んだ時も木になったミアの亡骸のそばでオイオイ泣き続けた。
《マーサらしいと言えば、らしいわね》
アリアドネは少し目元を緩めてこの愛すべき人物を見つめた。
