はごろものように | 合歓の花
わかれが辛いなら
末期の病いびとが
音もなく息を引き取るように
フェードアウトすればいい
さよならなんて言わなくていい
人間は宇宙に浮遊する
一かけらの粒子だもの
睦みあった記憶を抹殺されても
わが心はあの時のまま…
それだけでいい
別の人間なのだから
感じるままに
思い出を包んで
自分を慈しむ
それだけでいい
長年育んだ愛を
雲の上でやすらいで
ほかのだれにも譲らない
たったひとつ錦を織ろう
もしかして永遠に消される
運命かもしれないけれど
自分の意思で
ゆっくり溶けていく
天女の纏った羽衣のように
わが魂を優しく抱きしめて
流れに身を任そう
それが生きる力になる