太平洋へ続く遠浅の海の
さざ波は穏やかで
祈りの如く
わが魂は鎮まり
天に昇る階段を
仰ぎ見ている
いま目の前に広がる
この海を訪れて
遠いあのひの思いを
確かめたかった
紫紺色濃きふるさとの海は
山の木々と太陽の閃光が
合成するかのように
みどりの海面と化している
無垢な乙女の
真っ白な愛が
波が砕けるように
散った日
その愛は永遠の絵図となって
乙女の心の中に生き続けた
永い歳月を経て薄れかけた
幻の絵図はいま
この緑色の海と重なり
懐かしい
けれど
穏やかな漣を見ている私には
もう
過去へ思いを馳せるエネルギーはない
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