「あなたらしい字だわね。とてもいいと思いますよ」
昨日、先生のところにペン字の作品を書いて持っていくと、
初めて、そんなことを言われました。
5年前は、毎回のように、
「自分の字を書かないように!!」
「ほら、また自分の字を書いている。そんなことをしていたら絶対うまくならないよ」
とかなり厳しく言われておりました。
しかし、自分の字にならないように、と言っても、自分の好きでない字は書きたくないよなぁ~
と考えた私は、たくさんの種類の手本や辞書を、まず用意しました。
この先生のこの字は好きだけれど、この字は書きたくない、だから、他の先生の字を見てみよーっと。
とそんな風にです。
自分の好みのものを集めてきて、自分の字ではないけれども自分の好みの字、を作り上げていきました。
(ちなみに、今でも、自分の好みの字を書く先生の字は、凝視して、取り入れたいところを見つけたりしています)
そして、ひたすら5年、自分の好みの字をひたすら練習し、自分の字を書かないようにしてきましたが、
いきついたところは(まだまだゴールでも何でもないですけれどもね)、
今日の先生の言葉にあったように、
「私らしい字」
だったようです。
無論、ペン字作品を書くときに、何も手本を見たりはしていませんから、自己流は自己流です。
しかし以前の自己流とは違うようです。
自分の字を書かず、好みの字の手本をひたすらマネし続けたとて、
そこに待っているのは、
ちゃーんと「自分の字」
しかも、以前の自分の字ではない、ワンランク上の自分の字なのです!
字を教える際、「クセ」と「個性」をどうとらえるかは難しい問題です。
「自分の字を書いていてはだめだ」
と言うと、個性をまるで認めないような言い方に聞えますが、
「クセ字」を個性と思ってしまうと、字はうまくならない。
とにかく、まず自分好みの手本を(複数用意して選ぶのもいいと思います)真似して、真似して練習する。
しかし、その先に待っているのは、自分以外の人の字ではなく、
「自分の字」です!
個性がちゃんと宿っている、自分の字です。
ですから、
自分の字を書いてはいけない練習に、
「なんだか自分の個性が認められていないみたい」というご心配は、一切不要です!
「自分の字を書いてはいけない」
これは、字を本格的に習いたいビギナーの方向けの、上達の秘訣です(私の経験からです)。
上達したい!という生徒さんの気持ちに、本当に寄り添った言葉かもしれません。
わーまた固いこと書いてしまった~~