「なぜこんなに引きずるんだろう」
それは感情を抑圧しているから。
飼い猫が死んだくらいでこんなに悲しむのはおかしい。
飼い猫が死んだくらいで、その悲しみを露わにするのは恥ずかしいこと。
陽が私より先に逝くのは、最初から分かっていたこと。
その当然の事実に向き合えないのはみっともないこと。
『わからずや』
わからずやでありたくない自分がいた。
十分に悲しんでいたつもりだったけれど、そういう気持ちがあった。悲しみを抑圧していた。
まだまだ世の中には私より辛い体験、思いをしている人がいる。
辛いのは自分だけじゃない。
こんなのは大したことじゃない。
こんなのはまだまだだ。
そうやって、私はこれまで私の中の辛い体験、感情をやり過ごしてきた。
もうずっと。
大切な存在を失くして悲しいのは当たり前のこと。
悲しんでいい。
私は悲しんでもいいんだ。