欲 【中】 | KIRAKIRA☆

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こちらはスキップビートの二次小説ブログです。CPは主に蓮×キョ-コです。完全な個人の妄想の産物ですので、原作・出版者等は全く関係ありません。また、文章の無断転載は固くお断り致します。

※10万HITリクエスト!aooni様から頂きました☆



注】 蓮くんの浮気疑惑ネタです。苦手な方はリターン!感想は受け付けても、クレームは受け付けられません!!





目の前で厳しい表情をする雇い主に、社は一度固く目を閉じてから意を決して真正面から受け止めた。

いつかはバレると思っていたが、予想通りに予想以上の早さだ。


「・・・・・社、俺の目は節穴じゃねーぞ」


「・・・・・・・知っています」


「なら、アレは何だ」



そう言って示されたのは、ちょうど生放送中のトーク番組でテレビに映っている



「・・・・・・・”敦賀蓮”ですが」



表面的に見れば完璧な”敦賀蓮”がそこにいた。

そう、表面的に見れば完璧すぎる程の


我ながらワザとらしいと判ってはいても、しれっとそう答えると一層厳しい顔をされた。

正直怖い。

こういう時、この人の本質がただの表面通りの”変わり者”ではないと突きつけられる・・・・・・・・・・・が



「最上君と何かあったのか」


「言えません」



敢えて”知らない”とは言わなかった。

それだけで、この人には伝わったのだからやはり恐ろしい所だ


「・・・・・・・・・最上君の様子も最近おかしいな」


それに対しても無言を貫くと、更にギロリと睨まれた。

もう内心では冷や汗ものだ


数瞬の沈黙の後に、やっと「もういい、戻れ」と手を振られて、黙って頭を下げると社長室を出た。




「はあ~・・・・・・・・・怖かった~・・・・・・」


エレベーターに乗り込んでドアが閉まると同時にその場に屈みこんだ。


全て話したらどうなっていただろう


自分の問題で、自分が悪くて、自分が解決するべきことだからと蓮に口止めされていたのもあった。

だが、今回の原因を考えれば社長がキョーコの味方に付く可能性も社は否めなかったので敢えて口を閉ざした。

どうやら、キョーコの方も何も言っていないみたいだし・・・・・


正直賭けではあったが


今回の事は社も少なからず責任を感じていたからだ。

その上・・・あんな蓮の姿を見ていたら・・・・



ああ・・・・俺・・・・ボーナス査定ゼロかも・・・・と現実逃避な事を考えるが、時計を見て慌ててスーツを整えた。

そろそろ蓮の生放送が終わる時間だ。

今の蓮を一人にするには躊躇われた。


エレベーターのドアが目的階について音と共に開くと、ドアの向こうにいた人物に息をのんだ


向こうもこちらに気付いて固まっている



「・・・・・・・キョーコちゃん・・・・」



逃げられる、捕まえろ、動かない体に脳が無理やり命令して、キョーコが逃げようとするよりも早く社はその腕を掴んだ。









今は名前も聞きたくない

どんな理由だって関係ありません。


何とか捕まえて、宥めて、人影のない所に連れだして

キョーコは頑なだった。


その理由を判っているだけに社は途方に暮れた。


蓮と同じ”男”である社には、それだけでキョーコに敵認定されている気分だった。

いや、実際にそうだったのだろう



純情乙女のキョーコには男女の性 欲自体が元々どこか”不潔なもの”と認識している所があった。

蓮と恋人になって行為自体を受け入れるようになったのは”愛”という高潔なものの上にあったからだ。


身体だけの関係とか、ましてや浮気なんて「汚らわしい」ものと認識するのは当然に思えた



「・・・・・蓮と別れるの?」


「・・・・・・・知りません。勝手にして下さい。」


話題にするのも避けるぐらいの全身で拒絶を示すキョーコに、社はお手上げだった。

ひと月近くたっているから・・・と思った自分が甘かったようだ。



マンションを出て、今どこに住んでいるのかも判らない

携帯の番号もアドレスも変えてしまい

仕事ではスケジュールを調べて徹底的に会わないように避けられてしまい


元々ハードスケジュールの蓮だが、同じ事務所で同じ業界にいてもここまで?というぐらいの徹底ぶりだった


やっと捕まえたのに、これでは・・・・




「もっとも向こうはすでに新しい恋人をマンションにあげているんじゃないですか」


「そんな訳・・・・」



「そんな訳ないだろ!」



最近の蓮を知っているだけに、思わず声をあげた社の声を更に大きな鋭い声が遮った。

驚く二人が振り向くと、そこには息を切らした蓮の姿があった。


社がキョーコを捕まえたと同時にメールを打っておいたのだが・・・・それにしても早すぎないか?!と驚いた。

さっきまで生放送に出ていたのを考えると、放送が終わって本当にすぐに駆けつけてきたのだろう。

車・・・・法定速度守ったんだろうな?!とは・・・流石にこの場では聞けなかったが




キョーコは明らかに体を強張らせた

逃げようにも逃げ道は蓮が塞いでいた



「キョーコ・・・・お願いだ、話を聞いてくれ。」


「話すことはありません」


「謝罪させてほしい。君に償うチャンスをくれ」


「いりません」



社に対するよりも一層拒絶を現わす態度と冷たい固い声とあわせない視線。

対して蓮は必死だった


「記憶が無いとはいえ俺が悪かった。最低だった。だけど君への想いは偽り無いんだ」


「やめて下さい」


「キョーコ・・・・」


「・・・・・・・・・莉果さんは私の事を知っていました。周囲には内緒にしているのに・・・・。敦賀さんが言ったからじゃないですか?」


「いや・・・それは・・・・」


「覚えていないんですよね?それだって・・・・本当か嘘か信じられません!」



突き放した言い方に、蓮は明らかに一瞬傷ついた表情をしたがすぐにそれを押し殺した。

その様子に自分は傷つく資格など無いと蓮が言っていたのを社は思い出した



「敦賀さんだって酔っていたとはいえ、そういう願望があったからじゃないですか。口ではどう言っても心の中ではやっぱり違っていたんです。もう敦賀さんを信用できません!」


「・・・・・・・・・キョー・・・」


「名前を呼ばないでください!」




後ろから見ても血の気がひく蓮が判った。



「・・・・・・・ッ!」



じんわりと目に浮かぶ涙を見せたくないと


固まる蓮に構わずにキョーコは横をすりぬけて部屋を出て行った。




結局一度も蓮の顔を見ないまま









キョーコを裏切った事の意味が判らない訳ではない



恋人として


男として



一度愛を失って、愛を信じられなくなったキョーコが


あんなに誰かを愛する事に怯えていたキョーコが



自分を愛してくれた


自分を受け入れてくれた




その事がどれだけキョーコにとって勇気のいる事だったか




自分は知っていたハズなのに




自分が許せない





自分で自分を消してしまいたいほどに許せなかった



許されなくてもいい



キョーコへ償いをしたい


キョーコの傷を癒したい


キョーコの信用を取り戻したい





その願いの全てが矛盾をしていると判っていても、蓮はその想いに沈んでいた





だからこそ、このままキョーコを傷つけたまま・・・・・諦め切れる事が出来なかった












控室のドアを開けて目に飛び込んだモノにキョーコは一瞬身を強張らせた後に、息を吐いた。

机の上に置いてあったのは、綺麗な色の花束だった。


・・・・・・・来ていたんだ・・・・・


今日「彼」がここで収録があるのは知っていた。

だけど、明らかに時間が入れ違いになるので油断していた



もう三カ月近くになる・・・・・あれから・・・・



未だキョーコは徹底的に蓮を避けていた。

だけど、その裏をかいて捕まりそうになった事は何度かあった


その度に毎回同じ応酬だ


別れるというキョーコと別れたくないという蓮

謝る蓮と許せないというキョーコ

もう一度信用を取り戻したい蓮ともう信用できないというキョーコ


どうしていいか判らない蓮はひたすら謝るしか出来ない

そして、機を見てはキョーコに花束を贈っていた

どこに住んでいるのか判らないから、こうして控室に置いていく事がほとんどだが



置かれた花束を手に取り、息を吐いた。


最初の方こそ、目にした瞬間ゴミ箱に捨てていた。



だけど花には罪はないと思えるぐらいには冷静になってきていた


そして、今はあの瞬間蓮に感じた猛烈な嫌悪感は多少薄れていた



自分を追いかけてくる蓮に「莉果さんはいいんですか」と何度も聞いたが、その度に「彼女とは何でもない」と何度も言われた。

莉果もあれから自分に何も言ってこない・・・・というか、姿を見ない


それが、キョーコが彼女の望みをかなえたからか、違うのか

それすら自分には自信がなかった。


そもそも・・・本当に敦賀さんが自分だけで満足できるはずが無かった



あの日々は嘘だったのだ



そう思えば思う程





蓮を未だ許すことが出来ずにいた



信用ができないでいた







裏切られた








この感情を消すことがどうしても出来ない






控室で花束をどうしようか・・・とぼんやりと椅子に座っていると、突然のドアを激しく叩く音にビクリとした。

スタッフさんではまずありえない勢いに、まさか・・・と思う間もなくドア越しにあせった声が響いた。



「キョーコちゃん、俺だけど、社だけど!蓮、ここに、いないよね!?」





「・・・・・・・社さん・・・・?」











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