幸福人の証 | KIRAKIRA☆

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こちらはスキップビートの二次小説ブログです。CPは主に蓮×キョ-コです。完全な個人の妄想の産物ですので、原作・出版者等は全く関係ありません。また、文章の無断転載は固くお断り致します。

咎人の望 シリーズ





暗闇の中にいた



もしかしたら、窓を開ければ目に映る光景ぐらいは光に満ちるかもしれない


とはいえ、自分は今昼か夜かも知らないけど



でも、どちらでもいい



目に見える景色に光が差そうか暗闇だろうが





私が欲しいのはそんなモノじゃない










一体どれだけの時間が流れたんだろう


一時間?一日?それ以上?それ以下?




「・・・・・・れんさん・・・・・」



口に着くのは彼の名前




だって、私はそれ以外の名前を知らない




だから?




考えても判らいのは記憶がないから?




中途半端な・・・・欠けた私では貴方を幸せに出来ないの?






ひたすら泣いて、泣く気力もなくして、ぼんやりとベッドの上にへたりこんでいた




あれから彼はこの部屋に来てくれない



もしかしたら二度と来てくれない・・・・・?




そうなったらどうなるの?



あの人に捨てられたら、私は・・・・・




そこまで考えて言いようもない恐怖が身体中を廻った




「イヤ・・・・イヤ、イヤ、イヤ・・・・・・」




怖い



身体が震えるのを必死に自分の腕で抱き締める




「イヤ・・ステナイデ・・・・・」




何でもする




何でもする




だからステナイデ





気が付けば、フラリ・・・と足を付けて部屋を出ていた



カチャリ・・・とリビングのドアを恐る恐る開けると、誰もいなくて一層恐怖を引き立てられた



窓から見える暗闇が、今が夜なのだと教えてくれたけど、そんな事はどうでもいい。



「れんさん・・・・・」




・・・・・・・・・どこ?




フラリ、フラリ・・・・と部屋の中を捜しまわる



カチャり・・・といくつか目かのドアを開けた時、心臓が高鳴った




書斎の隅に黒くうごめく固まりを見つけた



「れんさん・・・・・・・・?」




名前を呼ぶと、ビクリと固まりが震えた気がした。




そっと・・・足を踏み入れれば、それが黒い固まりではなく、シーツを頭からかぶった蓮だと判明できた。



あれからずっと・・・・?



「れんさん・・・・」


「・・・・・・・・・くるな・・・・・・」



静寂な室内では呟きも響いて聞こえる



「俺は・・・・君を・・・・・」



声が震えているように感じるのは気のせいじゃない


シーツにくるまってうずくまっている彼がとても小さく見えた



一歩



一歩



彼に近付く



「れんさん・・・・」


「ごめん・・・」



彼は何度も謝っていた


泣いて・・・いるのだろうか



何度も謝る彼をぼんやりと見ながら、なぜ彼が謝るのだろう・・・と思った



彼が謝っているのだろうか



私が謝らせているのだろうか




「れんさん・・・・・私・・どうすればいいですか・・・・?」


「俺は・・・・また君を・・・・」



震える腕は自らの身体を抱き締めていて



私はその腕にそっと手を添える



「・・・・・れんさん・・・・」




再び静かなキョーコの問いに、蓮はぽつりと答えた







「・・・・・・・・・愛しているんだ・・・・」








それだけが望


それだけが願い




それだけが・・・・今の生きている証











傍にいます・・・と伝えても彼は辛そうな顔をする



その瞳は昏いままだ



だから、キョーコは想いをそのぬくもりにのせて伝える





どうすればいいのか判らない




だから、必死で彼に奉仕する




何も持っていなかった私が、この限られた空間で学んだのはそれしかなかったから





彼の上で必死に彼に想いを伝える





いつも彼がしてくれるみたいに




快楽よりも




痛みよりも





もっともっと伝えたいものがある









愛している








なのにどうして私たちは幸せになれないのだろうか













いつもと違う部屋で眠ったせいか、キョーコは珍しく日の光で目が覚めた。


差し込む日光が久しぶりで懐かしく感じるのは・・・・いつの記憶を示しているんだろうか



顔を少し向ければ蓮の寝顔があって、泣きそうになった。



これは・・・蓮の寝顔が懐かしいと思うのは自分の知っている記憶だ。


最近はずっと独り寝室で目覚める日が続いたから、こうして蓮の腕の中で目が覚めるのが泣きそうなぐらいに嬉しかった。

ずっと寝ていなかったのか、日の光の下ではうっすらと目の下に隈が確認できた。


・・・・・・ふと、いつも自分が寝室で独り目が覚めた時にいつも現れる蓮の姿を思い出す。

そして、自分が気絶した後浴室に連れて行ってくれているらしい蓮の事も


もしかして・・・本当にずっと寝ていない・・・?



珍しく熟睡しているらしい蓮の寝顔をじっと眺めていた。



昨夜、震える彼を自分が抱いた


あのまま殺されたとしても、もしかしたら受け入れたかもしれない


でも、あの時の彼は・・・・恐らく自分を置いて独り滅びようとしているように見えて、怖くて、引きとめたかった。



「・・・・・大丈夫」



自分たちはきっと「普通」になれる



きっと「やり直せる」



そうだ、朝食を作ろう



朝食を作って・・・・蓮と食べよう



「大丈夫」



ベットから降りて、寝室のドアを開けたままフラリと部屋を出る。

閉めたままだと、蓮が起きた時にまた不安になるかもしれないから



貴方が望むなら記憶もいらない



貴方の望むものになってみせる





「・・・・・・・・ダイジョウブ」



ポツリと呟いて、涙があふれた


どうして涙が出るのかわからない。



それは私の考える必要のない事だと言い聞かせた



廊下に出ると、部屋にチャイムの音が響いて身体が震えた






後になって気づく



この部屋はアダムとイブの楽園だった



知りたいという欲求で追放された楽園






どうしてあの時ドアを開けてしまったのだろうか











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