向日葵の恋21 | KIRAKIRA☆

KIRAKIRA☆

こちらはスキップビートの二次小説ブログです。CPは主に蓮×キョ-コです。完全な個人の妄想の産物ですので、原作・出版者等は全く関係ありません。また、文章の無断転載は固くお断り致します。

「俺にとって『薫子』さんは太陽みたいな人なんだ」


ニュースで事件が解決するのを見て、『薫子』が満足そうに帰った後『司』がポツリと言った。


この間のキスシーンを見てから、『海』は『司』も『薫子』にもよそよそしく、『敦志』はそんな3人を不思議そうに見ている日々だった。


「・・・・・・・・・・・・・・太陽?」


突然言われた言葉に『海』は戸惑いながら聞き返す。


「・・・・・・ああ、恩人なんだ・・・・まぶしくて、無くてはならない人・・・・」



それだけ言って、『司』も帰っていった。



取り残された『海』はその後ろ姿をじっと見ていた



「・・・・・・・・太陽・・・・・」



*****************



「その節は色々ご迷惑かけてごめんなさい」


ぺこりと座ったまま頭を下げられて、私は首を手を最大限に横に振って恐縮した


「き、桐崎さん!頭をあげて下さい~!!あの、全然迷惑だなんて思っていませんから!!」



あの、ドタバタの日から5日



パソコンを使って皆をサポートする 『海』はもっぱらスタジオでの撮りが多いけど、元々アクションシーンが多いこのドラマは屋外ロケも多い。

今回はそんな屋外ロケが続いた為、私が桐崎さんに会えたのは5日後の事だった。


ついでに言うのなら、敦賀さんとも5日ぶりに今日会った。

とはいっても、次の仕事で途中で抜けてしまったけど。


もちろん電話は毎日していたけど、敦賀さんも「普通に撮影していたよ」としか教えてくれなかったし・・・。

この件を話すには声だけの電話では頼りなさすぎで。

とても気にはなっていたのよね。

だから、今日桐崎さんに会ったとき、かなり緊張したんだけど・・・



撮影終了後、桐崎さんがお菓子とコーヒー持って私の控室に来てくれて恐縮してしまった。




「でもまさか、このドラマで二組のカップルが隠れて付き合っていたなんてね」


くすくすと笑う桐崎さんに、私も乾いた笑みを浮かべる事しかできない。

いくらせまい世界とはいっても、そうそうある事では無いと私でも判る。

そして、桐崎さんと敦賀さんが昔付き合っていて・・・何ていわくつきのドラマなのかしら。

恋愛ものでなかったのが、せめての救いだったわ。

ラブシーンが多ければ、それだけでカオスだったでしょうし・・。


でも・・・


後々思い起こしてみれば、色々繋がる点はあったのよね。



私が敦賀さんと桐崎さんの息がぴったりな場面に落ち込んでいた時に、相川さんが似た様な感想をくれたり。

お弁当を作ってきた時に、桐崎さん詳しくないって言っていたのに、それが「京野菜」だってわかったり。

あれは、事前に相川さんに聞いていたんだわ。


よく考えれば同じ事務所だっていうのに、あそこまで他人行儀なのも・・・



「ホント騙されました・・・・。相川さんと桐崎さん、おくびにも出さないんですもん」



流石演技派のお二人です。と言うと、それは京子ちゃん達の方じゃない?と返された。


「だって、本当にモヤモヤしたのよ。京子ちゃんがイイ子だって判れば判るほど・・・彼氏がいるって判った時には心底ホッとしたんだから」


拗ねたようにいう桐崎さんに、そういえばあの日もそんな事を言っていたのを思い出す。

何の事だかあの時は聞きそびれちゃったのよね。


「・・・・・?それがどうして、安心するんですか?」


「・・・・・・・・・・・・・圭が京子ちゃんを好きになったらどうしようって、思っていたから・・・」



バツの悪そうにポツリと言われた言葉に心底驚いた

桐崎さんと付き合っている方が私を!?


「ありえません!第一私を好きになるような方なんて・・・!」

「どうして?京子ちゃん、いい子な上に礼儀正しいし、何よりあの料理の絶品さは無いわよ。あの日、悔しくて、久しぶりに料理をしてみたんだけど・・・・全然ダメ。夜中までかかったのに、全部炭にしちゃったわ」


顔に手を当ててはぁ~・・と深いため息をする桐崎さんの意外な一面にポカンとする。

炭・・・って・・・そんな漫画みたいな事・・・どうやったらなるのかしら・・・・・

元来手先が器用なキョーコには全く想像がつかない。

「料理して、失敗して、寝不足で、なのに早朝一番に事務所に呼ばれと思ったら、敦賀さんとの捏造熱愛記事の事聞かされて、しばらく行動は気をつけるようい言われて・・・・それで、圭には、身辺のほとぼりが冷めるまでは会うのをよそうって言われて・・・・・本当にあの日は最悪だったわ」



疑問に思っていたあの日の桐崎さんの裏事情を知れて、色々と繋がってくるもの、見えてくる事が脳裏に浮かんでいった。


「全然気にしてくれないんだもの。自分の恋人が他の男と2度も熱愛報道されようとしているのに・・・よ?しかも、そのウチの一人とのキスシーンを平然と見ているし、全く気にしない様子で頑張れなんて言うのよ・・・!・・・・アレがトドメだったわね」


思い出したのか、段々と口調が強くなっていく桐崎さんに、キョーコは自分の中の黒いモノが反応していくのがわかる。


桐崎さん・・・・怖い・・・・・


いつもにこやかで、颯爽としていて、余裕のある女性だと思っていた。悩みなんて無縁の人だと。

でも、この間から次々と明かされていく内容は、この人も一人の人間だったんだ・・・と気付かされる。


同じ・・・好きな人の事で色々振り回されている、恋する女性・・・・

好きな人に嫌われたくなくて、素の自分の出し方が判らなくて、カッコつけてしまう恋する女性。



そう思うと、とても身近に感じる。


あんなに遠い世界の人だと思っていたのに・・・・。


思えば、敦賀さんと付き合う時もそうだった。

「崇拝」と言い切れる程雲の上の人だったけど、一人の男性として自分を求めてくれた。

『敦賀蓮』としての仮面を脱ぎ去ってまで、自分が欲しいと言ってくれた。

自分がこの人にとって必要なんだと信じさせてくれた


いつの間にか私が『敦賀蓮の恋人』という言葉に振り回されていたのかしら・・・




「・・・・・・その、仲直りしたんですか?」


仲直り・・という言い方はおかしいかもしれないけど、先日のやり取りからお互いの誤解があったのは確かで、そしてそれは解けたように見えた。


「ええ・・・・・まあ・・・・・。お互いやっと本音で話せるようになった・・・・かも・・。圭が・・・色々言ってくれて・・・私も・・・一応私が年上だけど・・・恋人としてもっと甘えたり出来るよう・・・努力中かな・・・」


口元に手を当てて、照れながら話す杏美にキョーコは胸がキュンッとなる。

桐崎さん、可愛いすぎ!!反則です!!!

こんな姿を見たら相川さんだって、惚れ直しちゃいますよ!

今まで知らなかったなんてもったいない!!



「私がどれだけ圭を好きか、圭は気付いていなかったし・・・私も・・・ちゃんと伝えられていなかったからね」


「・・・・・面と向かって、本音で話すって大事ですね・・・」


「あら、京子ちゃん、実感こもっているわね。敦賀さんに言いたい事でもあるの?」


「へ?・・・・いいいいいいいいいえ!!・・・・・いえ・・・でも・・・あるような・・・・ないような・・・」



つい否定したあと、思い直して首をひねる。

杏美と相川を見て、キョーコ自身思う所があったのだ。


「でも・・・漠然としすぎていて、何をどう話せばいいのか・・・」



「・・・・・京子ちゃん、いい事教えてあげようか」




そう言って笑った表情はいつもの桐崎さんで・・・・少し敦賀さんに似ている笑みだった。





それから





桐崎さんといろんな話をして、いろんな事を聞いた。


今までモー子さん以外友人のいなかった私はここまで「恋バナ」をした事はなくて、桐崎さんも同じだったみたい。



「今まで人を好きになった事なかったし、もっぱら聞く方だったから」



好きな人について語るのって、こんなに楽しいのね



そう言う桐崎さんは子供みたいにはしゃいでいて



私もつられてはしゃいでしまった




そして、とても敦賀さんに会いたくなった







無性に敦賀さんに会いたくて







会いたくて







会いたくて










とても愛おしかった。