向日葵の恋 another story 【その翌日カレは】 | KIRAKIRA☆

KIRAKIRA☆

こちらはスキップビートの二次小説ブログです。CPは主に蓮×キョ-コです。完全な個人の妄想の産物ですので、原作・出版者等は全く関係ありません。また、文章の無断転載は固くお断り致します。

― それは、キョーコに桐崎さんと付き合っていた過去が知られた翌日。






「…キョーコちゃん何か言っていたか?」



翌朝、担当俳優と合流した社は蓮の様子を窺いながら、とにかく今一番の懸案事項を聞いてみた。

(そんなに、機嫌は悪そうに見えないけどな~。心なしか元気が無いような気も…)

その他大勢にはいつもと変わらない『敦賀蓮』も、付き合いの長いマネージャーの目は騙されない。
それがわかっているので、蓮も今更隠す事はしなかった。



「何も」

「何もって?」



「気にしていないと言われました」



少しトーンの低い返事に、社は顔を引きつらせた。



「そ、それは…」



普通であれば、恋人からのその言葉は有り難いのかもしれない。つまらない悋気に辟易する男性は世の中にイッパイいるだろう。

だが、この担当俳優は自分が普段散々独占欲を出しては、ヤキモチを妬きまくっているというのに、当の相手からは妬かれない所か「気にしない」発言まで。更にキョーコの場合「敦賀さんだから、恋人の一人や二人いて当然」と本気で納得していそうだからコワい。



(それで元気が無かったのか)


社の心を読んだかの様に、蓮も昨夜の様子を思い出して自嘲気味に笑う



「わかっていましたけどね…俺の方が気持ちが大きいんだろうなって事は…」


「い、いや、お前の事を信用しているんだよっ」


ずーん・・・と黒いものを背負う蓮に社も慰めるようと必死になるが、蓮はキョーコの反応に加えて自分の行動にも反省していた。




昨夜も帰ろうとするキョーコを無理やり引き留めて、抱いてしまった。



あの状態でキョーコを帰したら、彼女が二度と戻ってこないような不安が突然襲ってきて…

ベットで何度も名前を呼ばせて、好きだと言わせて…それでも一瞬の安堵の後に来る不安。



気持ちが通じ合ったと思って、恋人という立場を手に入れて…まだまだ恋愛に手探りな彼女のペースでゆっくり進もうと思っていた。なのに、日々日々募る愛しさと、彼女との距離に耐えきれず、半ば懇願する形で身体も手に入れた。



一度知ってしまえば、もう後は坂道を転がり落ちるように益々溺れてしまう。

昨日の様に、乗り気では無い彼女を強引に抱いてしまう事も一度や二度ではない。


いや、キョーコからそういったスキンシップ自体が普段はとても少ない。

それは、照れているだけなのかそれとも本当に嫌なのか・・・それすら最近では自信がなくなってきた


それでも抑えきれないこの欲望は、きっと彼女が本気で拒絶した時に、どんな牙をむいてしまうのか。

絶望して、彼女を本当に閉じ込めてしまうかもしれない。


こんな昏い思いを隠しているなんて、きっと彼女は気付いていない







「でも、お前が桐崎さんと付き合っていたとはな~。らしいというか、意外というか…」


しみじみと言う社の声に蓮の声は急に現実に戻された。


「何ですか?それ」


誤魔化すように苦笑しながらいうと、社さんも「ん~」と首を捻る



「いやさ、敦賀蓮が付き合うにはお似合いなんだと思うんだけど、俺の知っている恋愛音痴のお前には意外というかさ~」

やっぱり俺は、おまえにはキョーコちゃんしかいないって思っているからかな~と笑う社さんに、俺は胸の辺りが暖かくなった。


(恋愛音痴は余計だけど・・・)


社さんには、本当に感謝してもしきれないと思っている。
マネージャーとして、本当の俺を理解して支えようとしてくれている。




『蓮といると楽だわ』




ふと、彼女が昔よく言っていた台詞を思い出した。



『私と蓮は似ているから』



あの時はよくわらかなかったが、彼女は最期までその台詞を言っていた。





『だから別れましょう?』





今なら少しだけあの時の言葉の意味がわかるかもしれない・・・。






確かに俺と彼女は似ていた。













半端な長さと内容なので、サイドストーリー扱いにしました。本来であれば6話。5話の翌日です。