過去から呼ばれた気がするユリウス

王室の侍従を代々務めていたという男から

値の半分で買い上げた首飾りを手にしてそう思う



超常現象研究家のヴィクターは

特殊な感覚を持つ

アデーラの不思議な力を

科学で解き明かそうとしている



場所や物は過去の記憶を留めるという

首飾りが教えようとするのが何か

手がかりを見つけたくて赴いた先で

ふたりは出会うべくして出逢う






ロンドンではヴィクトリア女王が

長く臥せっている

その機に乗じて王室廃止論者達が

頻繁に降霊会を開催している事を訝しく思う

秘密局員のダシエルとエイデン

彼らもまたそこに現れる



超常現象を根拠に基づき推理するに長けた

ヴィクターは

事の本質を突くように

王室廃止で得をするのは誰かと問う

推理する局員が脳裏に浮かんだのは

カトリック系の議員たち


まるで呼び起こされたかのように

点が繋がりつつあるが

それがわかるのはまだ先のこと


現実派達はそれが本当なら

なんでもできちまう

それが本音だけれども

現実ではわからない何かがあるのも事実



一方

カトリック信者である自由党議員ゼインは

霊を身に降りさせられる能力を持つであろう

エゼキエルとマキシマスを利用して

ないものをあるように見せかけようと

ヴィクトリア女王を鬱の壁に閉じ込めている

彼らの目的はある一点で合致するわけだ






呪いの呪文を今日も説くマキシマス

彼はアンソニー・バビントンの末裔


バビントン陰謀事件

1586年イギリスで発覚した女王エリザベス1世殺害の陰謀事件。

首謀者は旧教徒の聖職者ジョン・バラードで,84年ローマにおもむいて教皇から女王暗殺の許可を得た。

パリ駐在のスペイン大使メンドサも彼を支援。かつてメアリー・スチュアートの小姓をつとめていたアンソニー・バビントンも仲間に入り,海外組織との連絡にあたった。

彼らは,国内旧教徒やスペイン軍の助力を得て女王を殺害し,代りにメアリー・スチュアートを王位につける,という陰謀を企て,暗殺計画はバビントンが担当したが,彼とメアリー・スチュアートとの連絡が F.ウォルシンガムに探知され,一味は逮捕,

処刑された。メアリー・スチュアートもこの事件が直接のきっかけになって翌年処刑された。

※コトバンクより




ヴィクターは特定秘密局の分析官でもある

眉唾ものと能力なき普通の者はそう思うが

それはわからないからでもあるからで

科学と超常現象を結びつけて考えられる彼の能力は

王室の廃止に伴う国教の改宗

その最悪のケースを阻むために大いに役に立つ


ヴィクターの目的は

科学の発展を大英帝国の発展に帰依させること

誇り高きグレートブリテン王国を守ること

大英帝国を大英帝国にあらしめること

そのために秘密局員達を鼓舞するのである






諸君

時代はその足を早め

何もかもが過去に埋もれてゆく

王国の誇りさえも

麗しき伝統さえも

今 過去の遺物か


世界の情勢はもはや

もつれ絡みあった

糸屑のようだ


躊躇なく進め

情熱が全て

新たなる季節へと

移りゆく今

とりあえず進め


信念が全て

わが祖国守るために進め

寄せくる時代の

荒波乗り越えて