新井さんは、
私になりきりたかったんです。
私が異動する前の部署で
新井さんが三~四ヶ月の研修で一緒に働いたことがあり
その頃から
私の持ち物や
かばん 靴 服などの
ありとあらゆるものを凝視しては
私と同じものを購入していました。
二人のときに
私が何か意見を求められて答えると
翌日には
私の発言が
さも自分の考えや生き方みたいに
みんなの前で発言したりしていました。
行動 仕草 癖
全てを観察して
完璧に私の真似をしていました。
新井さんは、仕事中、ひたすら私しか見ていないのです。
そんな新井さんを
ロビーに立つスタッフは全員
気付くようになります。
私を羨み私を恨む
態度と行動にあからさまに出ていたからです。
次第に周囲の目は、
悪い噂しかなかったのに
全然違うな。
新井さんや藤井さんから聞いていた話しとは
全然違うな。
私と新井さんを見ていれば
わかるでしょう。
私が真剣に仕事に夢中になっていて
無我夢中で働いて輝いている。
かたや その私の姿を般若みたいな形相で
必死に私の姿を追う新井さん。
身体ごと固まって夢中で私を追いかけていましたからね私を。
次第に 信用をなくした彼女は
孤立していき
退社していきました。