JSAS(通称:開業系美容外科学会)総会に参加してきました!
ヒアルロン酸注入でご高名な先生方の安定した講演はとても楽しかった
私が何年も愛読している解剖学書の著者であるHee-Jin Kim先生の生講演も聞けた
(Second editionが発売されるとのことで早速予約)
学術的で学びの多い講演では充実した時間を過ごせました。
でもなんか、ここ数年のJSASとは違うなっておもうところもありました。
ここ数年のJSASが特別素晴らしかったから、期待値が高すぎたのかな。
私なんぞが意見するようなことでもないですけど、
学術とは関係ない営利的な内容も散見されたり、
撮影禁止や席取り禁止のマナーすら守れない方が多くいらっしゃったり、
ちょっとガッカリする場面もありました。
日本には同じ「日本美容外科学会」という名前の学会があり、
JSAPSと略されるほうは大学系美容外科学会
JSASと略されるほうは開業系美容外科学会
と言われています。
JSAPSの方は日本形成外科学会に所属していないと入会できないから大学医局に所属している先生がメインになるため、このような呼ばれ方をしております。歴史的にはJSASの方が長いです。
私が若いころはJSAPSとJSASは完全に別物で、
「JSASの学会に参加したら教授に怒られるぞ」なんて先輩に言われたもんです。
昔、私がお世話になっていた上司に、
「JSASってどんな感じなんですか?」と聞いたときの解答が印象的でよく覚えているのですが
「JSAPSは偉い先生が自分の腕を自慢しているだけで具体的な内容がないから若い先生は真似できない。
これでは若い先生が育たない。
JSASは学術的な内容ではないけど、とりあえず翌日から儲かることを教えてくれる。
でも、これだけでは困る。」
と言われました。
その当時はJSASに参加したことがなかったので、そんなもんなのかなあと思っていました。
その後、美容で開業することになり(まさか自分が美容を生業とするとは思っていませんでした)、
JSASに参加する日がやってきます。
初めて参加した10年前のJSASは、とにかく絢爛豪華で驚きました!
いかにも高そうな車が展示され、その横には美しいモデルさんが立っている
医療とは無関係な高級時計のお店がでている
参加している先生方も、キラキラしてて、
形成外科学会によくいる萎びた無地のスーツのおじさんはいなくて(失礼でごめんなさい💦)
見るからに高そうな仕立ての良いスーツや、芸能人以外も着るんだって思う奇抜なスーツで
靴の先尖ってます、みたいな。
女医さんは膝丈の無地のスーツの人はいなくて、そのまま雑誌に出れそうな美しさ。
そしてなにより驚いたのは中国からのツアー客(医師ではなく一般人)が大勢いらしていて、
お金のありそうなおばさまたちが発表を聞かずに聴衆の写真を撮っていたこと
ツアコンっぽい男性が引率して大きな声で同時通訳をしているのがうるさかった。
ご発表の内容は、
「このメニューはこんなにいいんですよ~こんなふうになりますよ~」
とかだけで、やり方とか、学術的な根拠とか、ほぼゼロ。
肝心の手技や詳細は企業秘密、ってことでしょうね。
衝撃的でした。。。
でも、それがここ10年でJSASの学会は本ッ当に変わってきて、
ライブサージャリーで上手な先生の手技を実際に見せていただきながら、
詳細にポイントを説明してくださったり、スライドを用いた講演も具体的な内容で、
若手医師を育て、美容医療の底上げをしたい!という、業界の高い志を感じる内容でした。
コロナの影響もあってか、学術的内容の上昇に反比例するように無駄に豪華な展示はなくなり、
企業展示のスペースも実用的で見ごたえのある内容になっていました。
JSAPSも、少しずつ変わってきてはいますが、
実際に美容医療を生業とする立場からすると(とくに当院は大きな手術をしないので)
JSASの方が圧倒的に勉強になる価値ある学術集会となっていました。
でも、なんか、、、、
今までのJSASと比べると、今回のJSASは、物足りなかったかな。
単純に自分が年齢を重ねて、興味を持てる領域が狭まったからなのかもしれません。
実際に、自分が最も力をいれているヒアルロン酸関連の講演はとても有意義でした。
美容業界にどっぷり足をつっこんでから、もう10年たったので、
新しい発見や学びが減るのは仕方ないし、むしろ、喜ばしいことなのかも。
10年経って、初めて気づくことが山ほどあったら、むしろ怖いよね
もう学ぶことなんてないし~と慢心せずに、学び続けようと思います