昨日は九州中医薬研究会の研修会へ参加してきました。
その中で、今回は司会も務めさせていただきました。
司会進行とはいえ、なかなか緊張しますね。
午前中の講義は 長崎国際大学・九州大学 正山征洋 教授。
正山教授の講義の中で成分分析の研究のお話もありました。
私も、大学時代は天然物の成分分析の研究を行っておりましたので、
少し過去を懐かしみながら(笑)興味深く聞かせていただきました。
成分分析は、薬を作っていくうえで、最初の段階です。
いわゆる天然物化学の世界では
まず植物などの天然物から
化合物を分離し同定することから始まります。
今現在も世に存在する天然物の中で
その成分構成がすべて分かっているものは
ほんの一部でしかありません。
生薬もまさにそうで
まだ知られていない成分が
その生薬の薬効に寄与していることも
十分に考えられます。
成分分析により化合物が新たに発見され
その後、生物活性や化学合成
生合成や作用機作の研究
などへ発展していきます。
よって天然から化合物を分離、同定する研究は
最も基礎であり最も重要なもの
と位置付けることができると考えます。
経験則で用いていた薬草の
エビデンス(科学的な根拠)を確定し
新しい効能の薬の製造など
そこからの発展に繋げるわけです。
まあ、大学の研究で
成分分析って地味なんですけどね!(個人的な感想です)
そんな天然物ですが
ものによっては現在は乱獲などにより
希少種となっているものもあります。
植物で言うならば
乱獲でその生息地が砂漠化し環境が悪くなる。
すると
今まで生息していたところで育たなくなってしまい
絶滅の恐れすら招くといったような状況に。
品種改良等で環境に適応させることもそうですが
いかに既存種を残し殖やしていくかも課題といえましょう。
さて、生薬・漢方薬です。
漢方では各植物の薬効は経験則に基づき
それは古代の書物にも示されており
それを基として現在もヒトの治療に用います。
例えば(流派は種々あるのですが)日本の漢方は
「傷寒論」をバックボーンとし
治療を進めていくといったように。
これは古の漢民族の経験をまとめた医学書ですが
その内容は非常にこまかいところまで
きちんと整理されています。
その経験則の貴重さたるや。
あらためて
先人の知恵と経験、そして自然天然の恵みに感謝して
薬草・生薬を用いていこうと感じたのでございました。