人間は恒温動物です。
しかし、体の部位によって、温まりやすいところと冷えやすいところがあります。
脳や特に上半身の内臓は、24時間働いています。
人体では生命維持に欠かせない働きをする内蔵は優先的に温められます。
そのため、内臓周辺、特に上半身は体温が下がりにくくなるように、調節されています。
しかし、下半身では、体温を維持するエネルギーが足らなくなったり、血流が悪くなることで、体温は下がってしまいます。
下半身は、いわゆる冷えの影響を受けやすい部位となります。
人間の身体は、実際に体温をサーモグラフィーで測ってみると、心臓を中心とした上半身が36~37℃くらいあるのに対して、下半身は足先に行くほど体温が低くなり、31℃以下になるなど、上半身に比べて5℃以上体温が低くなっているようです。
東洋医学において、気の巡り、血の巡りは重要な要素です。
この巡りが停滞することで、身体はバランスを崩し、病になりやすくなると考えます。
気には陽と陰があり、両方がバランスよく巡っていることが理想です。
しかし、陽の気は温かいところを好み、陰の気は冷たいところを好むため、上半身と下半身で温度差があると気が巡らなくなってしまいます。
気の巡りがバランスを崩し、停滞してしまうと、血の流れも停滞してしまいます。
この停滞が、不調の原因になっていきます。
頭寒足熱。
昔から、頭を冷やして足を温めることは健康に良いとされてきました。
これは、上半身と下半身の体温の差をなくすという意味に通じます。
近年では、エアコンの普及などで、暑い夏を含め年間を通じて下半身が冷えを受ける機会が多くなっています。
冷えやすい下半身を、できるだけ温かく保ち、部位による体温差を大きくしないことを心がけることです。