そろそろ秋の味覚の一つ、梨が旬を迎えます。
梨は残暑を乗り越え、燥邪が強まってくる今の時期に効果的な食材です。
梨は、バラ科・ナシ属に分類される落葉性の中高木です。世界に分布している種類のうち食べられるものは、「日本梨」「洋梨」「中国梨」の3つに分類されます。
日本では単に梨というと主に日本梨のことを指すことになるでしょう。鳥取の二十世紀梨が有名ですが、最近ふなっしーで有名になった船橋市などで豊水、幸水などの品種が摂れるように、日本梨にも豊富な品種があります。
梨の果肉の約90%は水分となっていますが、豊富なカリウムと利尿作用のあるアスパラギン酸、アルコール排出を促すタンニンを含み、体内の余分な塩分や有害なアンモニアを体外に排出し、むくみや二日酔い、高血圧の予防などの効果があります。
そして、梨に含まれる果糖やリンゴ酸、クエン酸には疲労回復効果、ソルビトールには便通を整える効果があります。ほかにも、タンパク質分解酵素プロテアーゼを含んでいるので、すりおろして料理に使うことで肉をやわらかくすることができます。
薬膳において、梨は余分な熱を取りながら、乾燥を解消し潤してくれる働きがあるとされています。また、梨の皮は「梨皮」という生薬になっており、のどや肺を潤し咳止めとして使用されます。
梨は涼性の食材ですので、発熱時の軽い脱水症状の改善などにも効果的で、少し身体を冷やす作用があります。熱っぽいときには多めに食べると体の熱をとってくれます。
そして、梨の持つ「潤す」性状は咳止め、痰切り、のどの痛みに効果を発揮します。喉や鼻などの粘膜の乾燥、肌の乾燥を感じたときに食べると良いでしょう。
ただし、冷え症や胃腸が弱い人は食べ過ぎに注意が必要です。
温めたり煮ることで身体を冷やす作用は弱まるので、体質によっては生ではなく、加熱したりコンポートにして食べるのがおすすめになります。