これ↓は2000年も前に造られた稀少な古代銀貨ですが

2002年、イスラエルにあるエラの谷から発掘・略奪され

2017年、違法な市場を経由し米国にオークション出品のため密輸され

2022年、イスラエルへの返還が実現したそうです。

 

そのオークションとは

 the Heritage Auction’s World Coins & Ancient Coins Signature Auction, in Denver

イスラエル・コインの中でロット30095の次が欠番になっています。

https://coins.ha.com/itm/ancients/judaea/ancients-judaea-the-jewish-wa

果たして、オークションで落札される前に出品取消→返還となったのか?

それとも、落札された後に返還→出品取消となったのか?

https://www.timesofisrael.com/rare-stolen-2000-year-old-silver-coinによると

Israel_Antiquities_Authorityが20年がかりで略奪された銀貨を特定したとあるので

落札された後に略奪銀貨と特定されて返還となったと思われます。

とすると、落札者は無償で返還に応じたのか?

それとも、落札代金は補償されたのか?

これが全く言及されていませんが、コレクターにとっては最も重要なところでしょう。

真っ当なオークションで落札したものを後になってから”無償で返せ!”では悲しすぎます。

また、オークション主催者も略奪・盗難品リストがあれば確認義務があると思いますが

オークションが終了してから、実は、略奪・盗難品でしたと言われても非常に困るでしょう。

なお、10年と半年をかけて略奪された銀貨を特定し米国まで追跡したという記事もあり

こちらが正しいとすれば落札される前に出品が取り消されて返還となったと思われます。

 

PS

コインではないのですが、米国で日本企業が有する美術品の返還訴訟がありました。

クリスティーズのオークションで当時の絵画最高額で落札されたゴッホの絵画。

略奪されたものではなく正当な取引を経ています。

しかし、ナチスによる資産没収を回避するため売却するしかなかったものなので返せ

と原告は訴えているのです。

しかも、不当利得の返還分として6億9000万ドル

懲罰的損害賠償金として7億5000万ドルの支払いを求めています。

日本人の感覚からすれば言いがかりも甚だしいと思うのですが

米国では時々”とんでもない判決”が出てしまうので訴えられた日本企業も大変です。

とはいえ、それなりのお金を払って和解、とすべきではないでしょう。

日本企業は言いがかりをつけられば金を出すと思われてしまいますから。

毅然として対応し、かつ、その結果をしっかり公表すべきでしょう。