日本では全く例がありませんが、欧米ではコインに君主の肖像が描かれます。

今回は肖像の雑学、顔の向きについて。

 

美術史に詳しい方は御存知と思いますが、欧米では肖像を描くとき

人間→横顔、神もしくは聖人→正面顔とされてきました。

但し、横顔では表情などを表現することが難しいため

人間でも斜め向きで描かれるようになり、3/4正面顔と言われるそうです。

参照:http://harashima-lab.jp/twitter/2018/02/17/2018-02-11-02-17/

あるいは、顔は正面を向いていても体は斜め向きになっています。

 

ところが、ナポレオン1世は敢えて真正面の肖像画を描かせたそうです。

これは自身の神格化を意図したものでしょう。

 

他にも例外があり、例えば、これらのコイン↓

中世のドル親子が描かれた古代金貨

しっかり、正面像が描かれています。

詳しい説明を読んだことがないので推測ですが

起源はローマ皇帝テオドシウス1世(在位379~395年)によるキリスト教の国教化?

これ以降、ローマ皇帝はキリスト教の守護者となり神と同様に正面像で描かれる

こともあるようになったのではないかと思う次第です。

事実、ソリダス金貨に正面像で描かれるようになったのは、自分が知る限り

テオドシウス1世の孫に当たるテオドシウス2世(在位408~450年)からです。

 

なお、コインに描かれる横顔の向きですが、コレクターなら周知のように代ごと変わります。

ところが、メダルでは規則性がなく、同じ人物でも左向きだったり右向きだったりします。

参照:Napoleon III Medals