アメリカの少しレアな金貨で紹介したNational McKinley Birthplace Memorial建設記念金貨
*McKinleyは南北戦争に従軍した最後の大統領であり19世紀最後にして20世紀最初の大統領
USA, 1917, 1 Dollars, 1.67g (Au 0.9), KM144, Numista Rarity Index 90, MS63
今回はHeritage Auctionsの記録から作成した
MS65の各年平均落札価格のグラフとMS65の落札記録数のグラフを検討します。
黒=総数:4000ドル台 3000ドル台 2000ドル台 1000ドル台 1000ドル未満
2004年に落札総数が急増していますが、それに先立ち3000ドル台の落札が7件もあります。
2006年に4000ドル台の落札価格を記録するに至り
2007年に落札総数はピークを迎え15件となります。
その反動か、2008年こそ落札総数は減りますが、その後は2019年まで6件以上を維持。
しかし、4000ドル台の落札どころか、3000ドル台・2000ドル台の落札は少なく
1000ドル台の落札も減っていき、1000ドル未満の落札が大勢を占めるようになります。
これにより落札価格の低迷が決定的となり、2021年に落札総数が激減します。
Mckinley大統領はハワイ併合など業績がある一方で在任中の1901年に暗殺されたため
その金貨の人気は高かったのかもしれません。
但し、落札総数の動向を鑑みると
4000・3000・2000ドル台の落札価格をつけるほど、この金貨は稀少だったのか?
という疑問が湧きます。
4000ドル台を記録した翌年、落札総数は15件にも増えていますので。
https://en.numista.com/catalogue/pieces55094.htmlによると
1917年の発行数は1万枚(他に1916年9977枚)
米国の金貨として決して発行数が多い方ではないと思いますが
1万枚(+9977枚)も発行されていれば稀少とは言えないでしょう。
この金貨は重量わずか1.67gの超小型金貨ですから
落札価格に占める地金価値の割合は低く、ほとんどが人気・稀少性を反映した価値=プレミア。
したがって、このプレミアが過剰に評価されていたと言えるでしょう。