Richter1078a, 36g (Silver), 45mm, availability < 50
Canton of Schwyz:シュヴィーツ州の都市Kussnacht:キュスナハト
で開催された射撃祭の記念メダルです。
1889 Switzerland Einsiedeln Shooting Festival Mdで
①シュヴィーツ州はスイス連邦の元となった原初同盟に参加した州
②シュヴィーツは国名スイス(ドイツ語でSchweiz)の元になった
③にもかかわらず、シュヴィーツ州で発行された射撃祭記念メダルは多くない
と説明しました。
Richter Catalog(メダルの本)によると
収集対象としている100年以上前に発行された銀製メダルは11種類しかありません。
前回紹介したメダルの現存数は200枚未満と稀少ですが
今回紹介するメダルの現存数は50枚未満と更に稀少です。
表のデザイン
クロスボウを持った男性が森の中で身をひそめています。
彼が着ている服はチュニックと呼ばれ、腰でベルトを締めるスイスの伝統的な服です。
果たして、彼は何をしようとしているのでしょうか・・・
彼は暴虐な悪代官アルブレヒト・ゲスラーを森の中で暗殺しようとしているのです。
そう、彼こそはスイスの伝説的英雄ウィリアム・テルです。
この暗殺事件を契機として民衆は立ち上がり
ハプスブルク家支配に反抗するスイス原初同盟が結成されたとされています。
下部に書かれたドイツ語はドイツ人劇作家フリードリヒ・フォン・シラーが書いた
舞台劇ウィリアム・テルに出てくる台詞で
小屋は無料です(から、そこに隠れてください)
あなたが(見つかって)罪を問われることはない(でしょう)
という意味で、逃亡中のウィリアム・テルを匿う場面のようです。
なお、ウィリアム・テルの実在を示す証拠はないそうですが
それでも、スイス国民が彼の実在を疑わないのは
シラーの舞台劇ウィリアム・テルが一役買っているようです。
裏のデザイン
開催都市キュスナハトの紋章とシュヴィーツ州の紋章です。
向かって左の後方に見える建物はTellskapelle:テル礼拝堂です。
この礼拝堂はウィリアム・テルの出身地であるユーリ州のルツェルン湖ほとりにありますが
ルツェルン湖はスイスで4番目に大きな湖であるため、ユーリ州だけでなく
シュヴィーツ州・ルツェルン州・オプヴァルデン準州・ニトヴァルデン準州にも面しています。
ルツェルン湖で護送中のボートからウィリアム・テルが脱出したことにちなんで
この礼拝堂が建てられたそうです。
悪代官暗殺は脱出後に決行されていますので
この脱出こそがスイスの歴史上転換点というわけです・・・伝説上の話ですが。