これまで

ドイツ帝国のファースト・エンペラーで初代ドイツ皇帝ヴィルヘルム1世のコインを

プロイセン王国のヴィルヘルムで、その兄と父である

プロイセン国王フリードリヒ・ヴィルヘルム4世と3世のコインを紹介しました。

 

ヴィルヘルムと同名ながらプロイセン王国に敵対した君主もいます。

今回は、そのヴィルヘルムの銀貨を紹介します。

 

Hesse-Cassel, 1854, 2 Thaler, 37.12g (Ag 0.9), KM618, Numista Rarity Index 88, MS61

表:Friedrich Wilhelm I 裏:紋章

 

紋章を囲む鎖や、その鎖から下がる装飾の内部にも獅子が描かれている点が気に入りました。

 

Hesse-Cassel:ヘッセン=カッセルは
1567年にヘッセン方伯領の北半分を分割相続してできた地方政権で
首都をカッセルに置いたため、ヘッセン=カッセルと呼ばれました。
*方伯とは伯爵とほぼ同じ称号
上記のコイン基本情報にあるHesse-CasselはNGC鑑定スラブの表記に基づきますが
銀貨が発行された1854年にはElectorate of Hesse:ヘッセン選帝侯国になっていました。
*選帝侯とは神聖ローマ帝国皇帝に対する選挙権を有する君主
*正式には選挙で選んだ王がローマ教皇から戴冠されて皇帝となる
 
なお、ヘッセン方伯領からはヘッセン=カッセル以外に
ヘッセン=マールブルク・ヘッセン=ラインフェルス・ヘッセン=ダルムシュタット
の3つの地方政権ができましたが
1803年にヘッセン=カッセルがElectorate of Hesse:ヘッセン選帝侯国となった頃には
ヘッセン=ダルムシュタット以外の旧領はヘッセン=カッセルに併合されていました。
 

さて、Friedrich Wilhelm I:フリードリヒ・ヴィルヘルム1世ですが

1847年にヘッセン選帝侯になりますが、1866年の普墺戦争でオーストリア側についたため

ヘッセン選帝侯国の首都カッセルはプロイセン王国の軍に占領され彼自身は捕虜となり退位

ヘッセン選帝侯国はプロイセン王国に併合されることになりました。

参照:プロイセン王国とドイツ帝国、その微妙な関係ドイツ帝国外伝・ザクセン国王アルベルト

したがって、フリードリヒ・ヴィルヘルム1世はヘッセン選帝侯国最後の君主となります。