少年王の多難な人生

スペインの少年王アルフォンソ13世(在位1886〜1931年)の金貨・銀貨を紹介しました。

前回は、その父の金貨・銀貨を紹介しましたので

今回は、その祖母、イサベル2世(在位1833〜1868年)の金貨を紹介します。

 

Spain, 1868, 10 Escudos, 8.4g (Au 0.9), KM636, Numista Rarity Index 78

 

金貨の年号は1868年ですが、1868年鋳造と1873年鋳造があります。

どこで区別するかというと、裏面下部左にある星の中の数字です。

分かりにくいですが、右上に傾いた68、年号通り1868年鋳造となります。

なお、紋章はアルフォンソ12世の金貨の紋章と同じです。

参照:スペイン少年王の父

 

次の金貨はスペイン統治下のフィリピンで鋳造されたものです。

 

Spanish Philippines, 1868/58, 4 Pesos, 6.77g (Au 0.875), KM144, NRI 79, AU58

 

年号を拡大すると、68の下に58の痕跡が認められます。

1868/58のoverdateは微妙で、これでも比較的はっきりしている方です。

NGCの記録によると1868/6/5のoverdateしかないはずですが

https://www.ngccoin.com/price-guide/world/philippines-4-pesos-km-144-1861-1868-6-5-cuid-1085374-duid-1566692

1868/58はvery scarce unlisted overdateだそうです。

https://coins.ha.com/itm/philippines/world-coins/philippines-isabel-ii-gold-4-pesos-1868-58-km144-au55-ngc-and-a-very-scarce-unlisted-overdate/a/363-23030.s?ic4=ListView-ShortDescription-071515

しかし、この金貨、1861年からしか鋳造されていません。

つまり、1858年には鋳造されていないのですが、1868/58が存在するのは不思議ですね。

また、謎の金貨?

なお、紋章はアルフォンソ12世(在位1874〜1885年)の銀貨の紋章と同じです。

 

さて、イサベル2世です。

18世紀初頭、ブルボン家のフェリペ5世がスペイン国王に即位してから

女性の王位継承は禁じられていました。

しかし、父であり前国王であったフェルナンド7世が議会に女性王位継承を認めさせ

1833年、イサベル2世はスペイン国王に即位しました。

当然のことながら、反対派からの反発があり、更に、イサベル2世の失政もあり

前回触れたように1868年、スペイン革命のため国外へ亡命しました。

ということは、今回の金貨2枚ともイサベル2世が亡命した年に鋳造されたことになります。