Aureus(アウレウス)金貨はローマで紀元前1世紀から紀元4世紀初頭まで:金貨は高いよ
Daric(ダリック)金貨はペルシャで紀元前6世紀末期から紀元前4世紀まで:走る王様の金貨
Stater(スターテル)金貨はギリシア周辺で紀元前8世紀から紀元50年頃まで
製造され、代表的な古代金貨であるため個人的に三大古代金貨と言っています。
今回はStater金貨を紹介します。
Greece (Thrace), after 54 BC, Stater, 8.39g, NRI 94, Ch MS, Strike 5/5, Surface 5/5
表:2人のボディーガードに守られたローマ元老院議員 裏:笏(しゃく)の上で花輪を持つ鷲
Stater金貨はギリシア周辺、すなわち、ギリシアを含むバルカン半島
特に、フィリッポス2世~アレクサンダー大王時代のマケドニア王国で製造されました。
今回の金貨はスラブ表記によるとバルカン半島東部のThrace/Thracia(トラキア)で
https://en.wikipedia.org/wiki/Thrace
紀元前54年以降に製造されたことになりますが、これには異論があります。
そもそも、今回の金貨が製造された目的はカエサル暗殺犯ブルータスを支援するためであり
2人のボディーガードに守られた中央の人物がブルータス、BはBrutusのBとされていますが
Bの文字がないvariationがあります。
Numistaによると:https://en.numista.com/catalogue/pieces138240.html
Bがある金貨:金の純度が高く、ブルータスにより製造されたオリジナル
Bがない金貨:錫が含まれ、錫を含む金の産地であるThraceで製造された模倣貨
また、カエサル暗殺事件は紀元前44年でありブルータスは翌年の紀元前43年に死亡。
したがって、今回の金貨のようにBがあるものは
ローマかブルータスの逃亡先で紀元前44〜43年に製造された可能性が高いでしょう。
Bがない金貨ならスラブ表記のようにThraceで紀元前54年以降の製造でよいでしょう。
なお、表の下部に書かれている文字ΚΟΣΩΝは英語にするとKosonであり
ブルータスを支援したDacia(ダキア、現在のルーマニアあたり)の王らしいのですが
詳細は不明です。