金地金の価格が上がれば金貨の価格も上がります。
と書きましたが、金貨と銀貨、どちらが地金価格の影響を受けやすいでしょうか?
コインの価格は地金価値(地金としての価格)+αとなっていて、この+αをプレミアと言います。
プレミアは稀少性が高いほど・グレードが高いほど・人気が高いほど大きくなりますが
地金価格の影響を受けやすいとは
価格に占める地金価値の%(地金価値%)が高いということになるでしょう。
稀少性がそれほど高くなければ、金貨の方が銀貨よりも地金価値%が高いと思います。
例えば、銀70円/g、金5000円/gとしましょう。
稀少性が乏しい1800年代の大型銀貨(銀含有量20g)・小型金貨(金含有量5g)なら
いずれも3~5万円程度ぐらいでしょう・・・ここでは4万円とすると
銀貨の地金価値% = (20 x 70 / 40,000) x 100 = (1,400 / 40,000) x 100 = 3.5%
金貨の地金価値% = (5 x 5,000 / 40,000) x 100 = (25,000 / 40,000) x 100 = 62.5%
金貨の地金価値%の方が圧倒的に高いことになります。
オークション・ワールド主催第16回オークション(2019年4月)で
ナポレオン3世の銀貨・金貨が多く落札されていましたので
同様なグレード(MS62 or MS63)で実際に
地金価値% = 地金としての価格 / 落札価格(手数料込) x 100
を比較してみましょう、青字が銀貨、赤字が金貨です。
銀貨では3-4%であるのに対して金貨では45%以上となっています。
この結果からも金貨の価格に占める地金価値の%は銀貨よりずっと高く
したがって、金貨の方が銀貨より地金価格の影響を受けやすいことが分かります。
別の言い方をすると、銀貨の価格のほとんどはプレミアであり
稀少性・グレード・人気により価格が決まることになります。
それでは、好きなのは金貨(金のコイン)?それとも、銀貨(銀のコイン)?
銀貨は地金価格が下がるような状況でも価格が維持される半面
人気が落ちると価格が下がると言えます。
また、稀少であるが故に認知度が低くオークションで入札者が少ない結果
思わぬ低価格で落札されることがないわけではありません。
更に、経済が大混乱した際にもプレミアが維持されるのかという不安があります。
ということで、趣味を兼ねた資産保全としてコインを集めている自分としては
地金価格の影響を受けやすくても地金価格により価値が保証される金のコインが好きとなります。
PS
上の表を見ると金貨でも額面、すなわち、重量により地金価値%が異なり
中型金貨である50 Francsの地金価値%は70%にも達しています。
それだけ50 Francsはプレミアは小さく、ひょっとすると、お買い得なのかも?