コインの贋作について解説する前に

問題の深刻さを物語る2つのケースを紹介したいと思います。

 

ケース1:スラブに入っている銀貨に磁石がついた!

このような衝撃的な報告がCoin Communityのforumでありました。

全文英語ですが、自分が理解した範囲で紹介します。

このtopicはhandle name, reyzaguirr氏の次の質問から始まります。

「購入した1933年のペルー銀貨に磁石がつくけど、贋作だろうか?」

それに対し、ShadyDave氏が答えます。

「自分が持っているPCGSとNGCに鑑定された1933年のペルー銀貨は

両方ともネオジウム磁石にくっつくよ。」

磁石がスラブ越しについている写真も提供しています。

最終的にはswamperbob氏が付き合いのあった全てのコイン・ディーラーに尋ねた結果

磁石がつくペルー銀貨は贋作と結論します。

この記事を書くにあたりVerify NGC Certificationで写真のペルー銀貨を調べてみたところ

NOT GENUINEとなっていました。

 

ケース2:贋作から一転、317万ドルの1913 Liberty Head nickel, Walton specimen

アメリカのコインでnickelと言えば、5セント硬貨のことです。

1913 Liberty Head nickelは極めて稀少、たった5枚しかないそうです。

そのうち、George O. Waltonが所有していたものがWalton specimenです。

彼の死後、1963年、遺族によりオークションに出品されたのですが

オークション主催者は”真作ではない”と鑑定して返却したそうです。

この時、遺族は廃棄することなく、実に、40年間も保管し

2003年、PCGSの専門家に再鑑定を依頼したところ真作とされました。

2013年、オークションに出品され落札価格317万ドル(おそらく手数料込み)。

その後、300〜400万ドルで転売されたそうです。

 

 これらのケースは以下の深刻な問題点を示しています。

1)専門家の鑑定といえども絶対に正しいとは言えない。

2)贋作を真作と間違えて資金を無駄にすることもあれば

3)真作を贋作と間違えて貴重なコインを廃棄してしまう恐れもある。

贋作はコイン・コレクターにとって、いえ、コイン業界全体にとって最凶最悪の敵です!