京都市交響楽団第690回定期演奏会に行ってきた。会場は京都コンサートホール、2024年6月22日。
指揮者は井上道義。
チェロ独奏はアレクサンドル・ク二ャーゼフ
曲目はオール・ショスタコーヴィチ・プログラムで、
チェロ協奏曲第1番
チェロ協奏曲第2番
交響曲第2番「十月革命」
全部初めて聴く曲。だけど大好きなショスタコだから大変楽しみ。
井上ミッチーのプレトークによると、ロシアではショスタコーヴィチはソビエト時代の作曲家なので演奏されないらしい。他の国では結構演奏されているのだが、そんなものかと思う。
さて、まずはチェロ協奏曲第1番。
ショスタコーヴィチにしてはなだらかな曲の部分が多いが、そこはショスタコ、しっかりした管弦楽で魅了してくれる。
チェロ独奏は、席のせいか、管弦楽に埋もれてあまり聴こえなかったが、ショスタコーヴィチらしい複雑な音楽だった。第三楽章のカデンツァは見事だった。
後半第一曲目はチェロ協奏曲第2番。
ショスタコーヴィチ60歳記念コンサートで初演されたということで、後期の交響曲の雰囲気があふれる。ハープ2台を指揮者の前方に配置して、視覚的にハープの音を強調していた。
こちらは管弦楽とチェロ独奏がはっきり分かれてチェロの音がっしっかり聴こえた。ショスタコにしては耳にやさしく、後期の交響曲の雰囲気を感じた。でもやっぱりショスタコーヴィチ、複雑な管弦楽が素晴らしい。
バッハ無伴奏チェロ組曲からのソリスト・アンコールあり。むっちゃ美しくて心にしみた。
後半第二曲目は交響曲第2番「十月革命」。
チェロ協奏曲と違い、若い20歳の作品。ソビエトの十月革命10周年を記念してショスタコーヴィチに作曲委嘱されたものだそうだ。
前半は若いショスタコーヴィチの力あふれるダイナミックな音楽で、チェロ協奏曲とは全く異なる激しいもの。先日ショスタコーヴィチの歌劇「鼻」を観たが、それも若い時の作品で、嵐のようだったが、ショスタコーヴィチのこういう複雑な楽想がほとばしって止まらない雰囲気が大好き。
後半は合唱が付くが、レーニン、十月革命を賛美する歌詞で、曲調もサイレンとともに柔らかなものに変わる。これはこれでいいけれど、前半が聴けたらいいかなと思った。
井上道義のショスタコーヴィチはいつ聴いても深刻さより明るさを感じる。もっと暗いショスタコーヴィチを聴いてみたい。でも何度も彼の指揮でショスタコーヴィチを聴くことができて、幸せだった。ミッチーのショスタコを聴くのものこれが最後か。ちょっと寂しい。
チェロ独奏は、楽器をロシアから持ち出せないとのことで、十分ではなかったのかもしれないが、それでも大きな音でダイナミックな音楽を聴かせてくれた。
管弦楽はさすがの京響。複雑な音楽を軽々と演奏する。安心して音楽にのめりこむことができた。ただ、ティンパニが中山さんではなかったのでびっくりした。
いい音楽を存分に楽しめた音楽会だった。こういうプログラムがあるから、京響通いはやめられない。