ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサンの公演の感想 いずみホール 2019年10月12日 |   kinuzabuの日々・・・

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ウィリアム・クリスティ指揮レザール・フロリサンの公演に行ってきた。会場はいずみホール。2019年10月12日。
 


曲目は、ヘンデル作曲オラトリオ『メサイア』全曲。

独唱は
キャスリーン・ワトソン(ソプラノ)
エマニュエル・デ・ネグリ(ソプラノ)
ティム・ミード(カウンター・テナー)
ジェームズ・ウェイ(テノール)
パドライク・ローワン(バス=バリトン)


とっても楽しみしていた演奏会だけど、台風を関西をかすめて、開催が危ぶまれた。でも、JRも主要路線は動くことになり、風雨は強かったけれど予定通り開催。

外は強風なので開場時間前にフォワイエに入れてもらえてありがたかった。会場内は、台風で来られなかった人が多かったのか、結構な空席があった。


クリスティ御大が独唱歌手とともに登場し、その元気そうな姿を拝見して否が応でも期待が増す。


調律をせずにいきなり曲が始まってびっくり。古楽オケは調律に時間をかけるものと思っていたから。それなのに最初からビシッと締まった明るい音。オケは渋い音だけどクリアで明るい。

クリスティの指揮は弾むような躍動感に満ちて、このオラトリオを明るく楽しく聴かせてくれた。もちろん重いところは重く、激しいところ激しく。だけど、どこか明るい。やっぱりすごいね。

最初にでてきたソリスト、デ・ネグリはもう一つ声が安定しなかった。でも、後半は美しい声を存分に披露してくれた。他のソリストもみな大変楽しめたけれど、カウンター・テナーのティム・ミードの安定感が光った。深く輝くカウンターテナー。

そして何より合唱がむちゃくちゃ上手い。雰囲気、ダイナミックレンジ、表現力、塊としての迫力。もう信じられないレベル。オケと独唱、オケと合唱が見事に溶け合って、明るい指揮の中で素晴らしい音楽世界を堪能できた。幸せ感がゆらゆらと沸き上がってきて、涙腺よりほおが緩む。


ハレルヤコーラスの解放感、アーメンの重さ、これ以上ない音楽だった。終わりも変な拍手もなく、大変気持ちよかった。


カーテンコールが長く続き、クリスティが時計を見るしぐさをして、舞台上手に戻っていったのが最後。拍出を続けても出てきてくれなかったなあ。
 

実は当初、この公演で『メサイア』を演奏すると聞いて少し残念だった。彼らならラモ―とかフランスバロックを聴きたかったら。でも大変満足できた。彼らの音楽を聴けてとてもよかった。


今回久々に『メサイア』を聴いて一番の感想は、ヘンデルのオペラを思わせる旋律が随所にちりばめられていること感じたこと。ヘンデルの曲だから当然なんだけど、やはりオペラを聴きたいと思った。

ということで、台風の中素晴らしい音楽を聴かせてもらえて大変良かった。クリスティ御大にはまだまだがんばってほしい。そしてまた来日してくれることを強く願っている。