2014年第66回正倉院展に行ってきました |   kinuzabuの日々・・・

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今年も正倉院展に行ってきました。




全体の雰囲気は地味な出陳が多く、螺鈿ものもないし、撥瑠もない。目を引くものが少ないのがちょっと残念かな、というのが率直な感想。

とはいえ、美しいものは極めて美しい。今年の目玉はなんと言っても『鳥毛立女屛風(とりげりつじょのびょうぶ)』。ふくよかな顔立ちにきりっとした眉毛、ふわっとした頬紅に、燃えるような朱のくちびる。この顔を見ているだけで幸せで、ときめいて、心がはるか彼方へ飛んで行ってしまった。

館内で30分以上並んだけど、並んで近くで見るべし!行けるならまた見に行きたい!!!


他で心をうばわれたのは『鳥獣花背方鏡(ちょうじゅうかはいほうきょう)』。美しく輝く姿が遠くから目に入り、ああ、これを見たかったんだ!と思った。ライトの加減もあるのだろうけど、この輝きには心が震えた。めずらしい四角形の鏡。彫も深く、おうとつの雰囲気も美しい。わけのわからん珍獣が一杯。一体づつ取り出してキーホルダーにでもすればいいのにと思う。


他には、

『紫檀木画挾軾(したんもくがのきょうしょく)』
ひじつき。結構デカい。体の前において前かがみになってひじをたてて体を支えるのに使うらしい。隅から隅まで装飾に彩られた、正倉院らしい美しい御物。

『衲御礼履(のうのごらいり)』
真っ赤な靴。外側に縫い目隠しの金線や、花形の飾りがあって、花形の飾りの真珠がきれいだった。この御物は『鳥毛立女屛風』の近くに展示されていたので、行列がすぐ横にあって、落ち着いて見られなかったのが残念。

『梵網経(ぼんもうきょう)』
表紙の金泥の絵の美しさと、経典の力強い文字の迫力との対比が凄い。表紙が丸めて展示されていたのが残念。



(以下追記 2014年11月6日)

『鳥毛立女屛風』の美人たちと再会するために、また正倉院展に行ってきました。

先週と違い、館内で行列を作ってなかったので、ゆっくりじっくり見ることができました。軽やかな輪郭に、引き締まった眉、優しい目、ふくよかな唇、淡い頬。堪能しました。いろいろ見比べましたが、すこしほっそりした第四扇が一番好き。

もちろん『鳥獣花背方鏡(ちょうじゅうかはいほうきょう)』もじっくり見てきました。大変美しい。


その他もよかったものをいくつか。

『伎楽面酔胡従(ぎがくめんすいこじゅう)』

伎楽の面。乾漆造の表面の素朴な味わいがいい

『黄金荘太刀(おうごんそうのたち)』

金で装飾された美しい太刀。金の装飾も、斑犀角も素晴らしいが、全体のプロポーションが見事。

『金銀平脱皮箱(きんぎんへいだつのかわばこ)』

皮を漆で塗った箱。金と銀の平板を貼り、その上から漆を塗って、やすりで削って金銀の模様を浮かび上がらせる。これも装飾のプロポーションがすばらしい。

『吹絵紙(ふきえがみ)』

吹き絵を施した紙。紙の上に文様をおき、上から絵具を吹き付けた紙。ほのかな色合いをみていると思わずうれしくなる。

『白瑠璃瓶(はくるりのへい)』
ガラスの水差し。これもプロポーション。下膨れの曲線が美しく、小さな気泡のある透明なガラスの光に魅了される。



ついでに、奈良の写真をいくつか。