らかわ「こんばんは。今日は名古屋伏見のしらかわホールでイーヴォ・ポゴレリッチのピアノリサイタルです。今年は2013年です。2012年にも聴きました」
ふし美「名古屋って言ったら、味噌カツですよねー、早速食べてきました」
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らかわ「『写真を撮っていいですか?』って、店員さんに言ったら、薬味とかメニューとか写真の構図に入るように並べてくれるんですよね。このブログもしっかり宣伝になってしまいました」
ふし美「で、今日のピアノはどんな人ですか?」
らかわ「美しい音と独自の解釈で魅了してくれます。特に音が凄いですから注目してください」
ふし美「はーい。今日はオールベートーヴェンプログラムかぁ、あまり聴いたことないからなー」
らかわ「ではとりあえず行きましょう」
ふし美「あれ、開演前なのに、赤い服に、赤いサンタみたいな帽子をかぶったごっついおっちゃんが、ピアノを弾いる」
らかわ「彼がポゴレリッチですよ。前も、開演前にラフな格好でピアノの音を出してました。弾くというより響きを確認している感じです。赤い服と帽子は12月だからですかね。さて、始まりです」
ふし美「開演時にはちゃんと正装してきましたー。短時間大変身ですね!」
(演奏)
ふし美「うわぁ~~、すっごい綺麗な音。メロディーも独特で、エキサイティング~」
らかわ「うとうと」
ふし美「あれ、こいつ、なんで寝てんの?」
らかわ「寝てませんよ。綺麗な音に、メロディに浸っていたんですよ。ずっと緊張を強いる力のみなぎる音楽に、最初は何とか食らいついて聴いていて、それはもう感激いっぱいだったのですが、後半は、のんびり聴いてふわふわしていたんです」
ふし美「ふーん、寝てた言い訳?」
らかわ「だから寝てませんてば。一曲目の8番から痺れました。音が体に柔らかく当たって、強く砕ける感じ。8番第二楽章のメロディをこれほど太く輝く音で聴けて幸せでしたよ」
ふし美「聴いたことのあるようなメロディいが聴こえたり聴こえなかったりしたこともありました」
らかわ「主旋律とそのバックにある旋律を対等にいろんな音量で繰り返していたんでしょうかね?主旋律を明快に出していたところもたくさんあって、緩急より演奏の格調の高さを感じて、ポゴレリチの作る音楽が果てしなく大きく見えました」
ふし美「すっごく音が大きかったでぅ。でも音が一杯すぎることがなかったでぅ。音の輝きも半端なかったですぅ」
らかわ「おっしゃる通り、どこまで大きな音でも、ホールに邪魔されることなく、音がきれいに聞こえました。低音はピアノの木の音色を強く感じつつ、柔かいタッチが印象に残りました。一方、高音のきらめきはとても激しくて目を開けられないほどまぶしいけれど、光の輝きがどんどん積み重なっていくのがとても美しくて、いつまでもこの音を浴びていたいと思いました」
ふし美「じゃあ、なんで寝てたの?」
らかわ「寝てないって言ってるでしょ!前半でじっくり集中して音楽を受け止めて聴いていたので、後半は若干疲れてしまったんです。だから、後半は音楽に集中せず、軽く受け流して耳に入る音楽をふわふわと聴いていたのです。これが、もう至福で。彼の奏でる極めて美しく格調高い音、流れるパッセージの面白さ、これを耳というか体で感じて、とても気持ちよかったのです」
ふしみ「前半で疲れて、寝てたわけね」
らかわ「もう、寝てないって。まあ、本音では後半もじっくり聴きたかったですけど、会社で仕事して名古屋まで来て、となるとちょっと疲れました。次に聴くときはもっとゆっくりできるときに聴いてみたいです」
ふし美「前回聴いたベレゾフスキーとは全く違いましたね」
らかわ「最初の一音から、格の違いを感じました。ベレゾフスキーはラフマニノフを弾くのを一旦やめた方がいいじゃないかとさえ思いました。ポゴレリッチの芯が強いけれど当たりの柔らかい音と比べると、彼の爆音は斧で木を切るような音。まあ、人それぞれなんですが」
ふし美「では、今日のまとめをお願いします」
らかわ「第一音からポゴレリッチの太い美音を存分に楽しみました。決して濁るともなく、ホールに邪魔されることもない。それでいてピアノのとてつもなく美しい音があふれ出てホールを満たしてくれる。これだけで心が一杯なのに、彼独特の音楽の世界に翻弄されっぱなし。それでもしっかりベートーベン。私は、ピアノの音楽をほとんど聴きませんから、彼の素晴らしさを十分に味わってないかもしれませんが、それでも、これだけむせび泣いたのですから、やっぱりすごい演奏家だと思います」
ふし美「それでも寝てたのね」
らかわ「寝てません!!!でも次の演奏会ではもっとじっくり聴きたいですね。だからまたコンサートに行きましょう!」
ふし美「またコンサートに行きましょーねー」
らかわ「さて、帰りの新幹線に乗らなきゃ。じゃあ帰りの新幹線でしっかり寝ます」
ふし美「やっぱり寝てたんだ」