ハーディング/マーラー・チェンバー管ブラームス・チクルス1日目 |   kinuzabuの日々・・・

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昨日はザ・シンフォニーホールでのダニエル・ハーディング指揮マーラー・チェンバー・オーケストラ・ブラームス・チクルス1日目。まずは3番と1番。

第3番の第一楽章は緩やかに始まった。でも、これは、主旋律をドライブして強調するためだった。ドライブ感はすごく、緩急、強弱が明快。所々いろんな楽器の音が強調されて、普段なら聴こえない音がよく聴こえて、あれ?って思うところが一杯で、色彩が豊か。これはハーディングの技。

一方、オケは、弦の各パートが高い精度で音が一致して、室内楽のようで、しかも音が大きく、音色もきわめて美しい。木管金管も綺麗な音を出す。しかも弦に負けない。抑えていたかと思うと、突然弦を飛び越える。ホルンも最高。オケの実力は天下一品だ。

第2楽章と第3楽章は連続して演奏されたが、これも第三楽章の甘い主旋律を際立たせるためだろう。

第4楽章は、チェロの旋律が極めて印象的に演奏された。ここも、色彩豊かで、緩急にうなる。最後もゆったりといろんな音を混ぜながら音を消す。一度でた拍手が消えた後に大喝采。


後半、第1番の第一楽章。これはオーソドックスだが、だんだん、ハーディングの色に染まっていく。緩急と強弱と色彩。

第二楽章、第三楽章もあまり派手な脚色はしない。

そして第三楽章から連続して始まった第4楽章で爆発。緩急のつけ方、音色、特定の楽器の音を強調して、普通の演奏では味わえてない動きを見せた後、ゆっくりと静かにしてから、有名なテーマが鳴り響く。まるで、これまで、この旋律をどう聴かせるかを考え抜いて、このような演奏になったかのようで、度肝を抜かれた。そして、最後も色彩豊かに終わった。

大ブラボー。オケが去っても拍手が止まず、ハーディングが再び現れて、礼を一杯して下がった。


 今回の演奏はハーディングとオケの理想的なコラボ。すばらしいオケをきわめて優秀なオケを魔法のように操る。ハーディングがブラームスでやりたいことをやりたい放題にやっているように思えた。

 でも、何を強調するかは明確。そのために何をすべきかをはっきりとオケに示して、いろんな緩急、強弱、色彩を引き出しているのだろう。

 そしてオケ。弦の編成は12-10-8-6-5だったと思うが、これであの音量は無いだろう。もう反則に近い。しかも弦の音はきわめて美しく信じられないほどそろっている。弦の官能も十分。このオケならマーラーもワーグナーもいける。木管も美しい音を出すし、フルートが突然とんでもなく大きな音を出したのには驚いた。しかも音色は美しい。ホルンも名手ぞろいだし、金管もここぞの迫力はすごい。

こんなすばらしく個性的なオケを初めて聴いた。そして今日もこの組み合わせのブラームスを聴く。もう今からワクワクしている。