米村利兵衛との連戦が続きます。
謎の持将棋の局
第二局は、とめじろうが落ち着いて指して利兵衛はあっさりと負け、第三局はその逆となり、とめじろうの1勝2敗で迎えた第四局ですが・・・
とめじろうの玉は、入玉(相手の3段目までの陣地に王が入る事。下盤面の赤枠)し、捕まらなくなりました。
持将棋の歴史について
将棋における引き分けの条件として、持将棋があります。
双方の王将が入玉して勝負がつかない状態で、互いに規定の駒数を保持した場合とされています。
現在の日本将棋連盟の規定では、飛角を5点、王の他の駒を1点として双方24点以上となる事が条件です。
ですが江戸時代にはその決め無く、利兵衛の入玉も行われていませんが、この先、どれだけ指しても相手の玉を詰ます見込みが立たなくなったと双方が認めた為、持将棋で合意したものと思います。
最近の持将棋で話題となったのは、棋王戦の第一局で、挑戦者の伊藤匠プロが藤井八冠に後手で挑んだ対局で、中村プロのYoutubeCHで、コンピューター対戦の持将棋の規定(27点)と日本将棋連盟の規定(24点)の差を突いた話をされており、24点ルールの修正に及ぶやも知れぬ歴史に残る対局になるかも知れないとコメントされています。
米村利兵衛との再戦は叶わず
結局この連戦では、とめじろうは1勝2敗1持となり、負け越してしまいます。
彼はやがて天下一の将棋指しとなり、彼に勝ち越した棋士との対局は好カードとなるはずですが、利兵衛との対局は残っていません。
とめじろうにとっては、この対局後に江戸を長く離れる記録が残っている事から、心中に決意があったものと推察します。
利兵衛との対局は、本やブログでも取り上げられている事が多いですが、4局を通じて片方の出来が良くて他方の出来が悪いという評があり、利兵衛側にも何かあったのかも知れませんね。
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