対戦相手は、伊藤看佐。
兄を追い越し20代半ばで七段となった、将棋家の当主という政治的な立場のある人を置くとすれば、将棋家では最強の指し手といって良いでしょう。
(※今の七段とは異なり、八段となれば名人が不在であれば名人となれる名人一歩手前の段位です。)
これは留次郎9歳の対局で、飛香落ちで5段差の手合い。
初段の入品試験だとすれば、厳しい条件だと思います。
戦いは香車の無い端の攻防となり、看佐が飛車取りと角を打った場面。
留次郎はここで飛車を逃げず、桂馬を跳ねて責め合いに持ち込ませます。
看佐は飛車を取り、次いで飛車で香を取り、香を8筋に打って両面からの攻撃をしますが、留次郎は馬を自陣に引き付けその香車を召し取ってしまい相手玉に迫ります。
最後は、馬を捨てますがこれを香で取れば角が成って王手がかかり、看佐はここで投了します。
留次郎は10歳で初段(入品)したとありますから、9歳時のこの勝利の意味は大変大きかったと推測できます。
将棋家の嫡男は12歳で入品となる出世ペースですが、将棋家以外の人間が10歳で入品とは、留次郎の才能がいかに図抜けていたかを示すものかと思います。
こうして留次郎は若干10歳で入品し、一人前の棋士となります。すげえ!
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