今日も三橋貴明氏のブログで政治・経済を学びます。
かつて、
「消費者の利益の保護に配慮しつつ、大規模小売店舗の事業活動を調整することにより、その周辺の中小小売業者の事業活動の機会を適正に保護し、小売業の正常な発展を図る」
ことを目的とした大店法(大規模小売店舗法)が改訂され、「大規模小売店舗立地法(1998年)」になりました。
ちなみに、日本国政府に大店法の改訂を求めた急先鋒は、アメリカの「トイザらス」でございます。
「立地法」成立により、中小小売店に対する「保護」が外され、ロードサイド型超巨大ショッピングセンターが乱立するようになります。中小小売店は次々に廃業に追い込まれ、各地の駅前が、いわゆる「シャッター通り」だらけになってしまいます。
また、1988年の日米建設協議以降、日本国内で、
「公共事業批判」
「談合批判」
「指名競争入札批判」
が相次ぎ、財務省主導の緊縮財政の影響もあり、補正を含めた公共事業はピーク(1998年)と比べ、一時は半分未満にまで削減されてしまいます。
結果、地方のインフラ整備や防災を担う中小の土木・建設業者が「淘汰」されていきました。
そして、いよいよ、
「既得権益!」
「日本の中小企業は保護されている!」
といった使い古されたレトリックを使った、日本経済の主人公である中小企業への攻撃が開始されようとしています。すなわち、中小企業淘汰(彼らは「再編成」と呼ぶ)の構造改革が始まるのです。
中小企業の生産性が低い(=従業員一人当たりの生産量、あるいは粗利益が小さい)ことは確かです。
とはいえ、これは別に「中小企業が多すぎる」ためでも、「中小企業の経営者や従業員が怠慢」なためでもなく、単純に「仕事が少ない」ためです。厳密には、安定的で拡大する需要がない、になります。
まずは「定義」が重要なのですが、生産性とは、
◆ 生産性=粗利益(あるいは生産量)÷従業員数
と、なります。
実質賃金は生産性と労働分配率で決定します。従業員一人当たりの粗利益(あるいは生産量)が増えていけば、労働分配率を引き下げない限り、実質賃金は必ず上昇します。
逆に言えば、現在の日本国民の実質賃金が下落していっているのは、生産性が低迷しているためです(及び労働分配率の引き下げ)。
東京一極集中にストップをかけなければならない我が国で、地方経済の中心である中小企業について、平気で「再編」だの「グローバル市場における競争力強化(要は価格競争力の強化)」を言い出す時点で、菅官房長官の国家観はおかしい。
さらに、中小企業だろうが、大企業だろうが、生産性は、総需要(厳密には潜在的な総需要)が供給能力を上回るインフレギャップの状況で、投資が行われなければ上昇しません。
日本経済の主人公である中小企業を、狂った構造改革の荒波の中に放り込むなど、許されざる蛮行なのです。
★ほぼ、全文を抽出しています・・・