ニューヨーク出張’77 | よくいうかいえ ( Cahier)

よくいうかいえ ( Cahier)

古布リメイク作家のつれづれ日記

では、パリからニューヨークへ1週間旅した時の話。

航空券はいつもの事で、ヤスミナというボスの秘書が手配してくれていた。
確認したはずなのだが、フライト時刻を勘違いしていたのだから大変!

13時のフライトなのに、3時と聞き違えてしまっていたのである。
13時つまり 「トゥレーザール」3時の「トゥワザール」と間違えた、つまり2時間の誤差!

あぁ、もうタクシーの運転手に「死ぬ気で走って!」と必死の形相で乗り込む。

シャルル・ド・ゴール空港に着けば、ツアーの担当者が「マダム、早く早く急いで・・・!こっち」と
カウンターに行けば、搭乗券の発行している時間が無い、いいからそのまま乗ってくださいという。

手荷物のみ抱ええて必死であのエスカレーターを走って昇れば廊下の先に入り口が・・・見える。

しかし、しかし何と言うことか! 「Non!」と搭乗を断られてしまったのだ。
係りの男性も交渉したが、ダメ!の一点張り。 
あえなく、ドアは目の前で閉められたのである。 (うそー、夢みたいでした・・・その瞬間は)

あの女性の非情な顔は今でも忘れない! にくったらしい! 彼女が悪いわけではないのだが・・・

他にもう一人汗だくで走ったアメリカ人の若い男性もぐったり、しょげている。

荷物は乗って行ってしまったんです~。
さぁ、どうする?
3人して腰掛けてと、係りの人が言うには「明朝一番で再びここへ来て下さい。
空席があるフライトに乗れますから。 荷物はケネディ空港にて受け取れますから大丈夫。」と・・・

トボトボとリムジン・バスでパリへ戻り、落ち着かない一晩を過ごす。
前日一緒に食事したムッシュ・ジャンジャックにその事を伝えたら
お前があんな過激なスタイルをして行くから、フライト・アテンダント達の心象を
悪くしたんじゃない?」そうかなぁ? 
そのスタイルとは先回のニューヨークの旅でのスタイルですが、
彼に言わせると「ナチスの将校みたい。」なのだそう。


翌朝一番で空港へ再び向かい、漸く搭乗して現地へ着いた。
最も心配していた先に行ってしまった荷物だが、朝一番の静かなバガージュ・クラムに
ポツンと乗ってゆったりと廻っていたのである・・・良かったぁ!


さぁ、タクシーに乗るかと見わたしていたら男性と女性から気軽に声を掛けられて
「行く先は一緒ですね、3人で割り勘で行きましょう。」
またその時も疑いもせず、はいそうしましょうと一緒にタクシーに乗って
片言の英語を繋いで会話しつつ、目的地まで先に付いたので言われた金額を
渡して、”さようなら。良い旅を!”  

荷物があった事も、相乗りタクシーも今では本当に考えられない事ですね!



ツアーに乗り遅れた為、付いたホテルではまるでルイ・アームストロングのような
笑顔の黒人ホテルマンが「マダム、どうして昨日来なかったんですか?」と出迎えてくれた。


その後は、ニューヨークにある鈴屋のショップを訪ねたり
ウィンドー・ショッピングしたり、自由の女神像を見るツアーに参加したり
バンバーガー・ショップで食事したり、セントラル・パークを散歩したり。

パリで知り合ったモデルのアパートを訪ねたり、クリスティーヌの知り合いご夫婦を訪ねて
食事に招かれたりと盛りだくさんの愉しみがあった。

そうそう、特筆すべきはロッキーを現地で見た事。
まさにロッキーが走っているような下町の映画館で観たので
臨場感タップリである! 
隣にスタローンがいるかと思うような気配にワクワクしながら観たのです。


以上、若い日の余りにも無謀な旅の鮮烈な記憶です。





           あきやま幾代・古布リメイク 衣袷ーきぬあわせー Web Site