ブログにも何度か書いているけれど
吉田基已さんの「夏の前日」という作品がとにかく大好きです。
最終巻のまっすぐ前を見る二人が切ない・・・・・
世の多くの男性のミューズになりえるであろうヒロインの晶のことが
うらやましすぎて好きになれなかったんですが(苦笑)
最近では彼女の心を感じるごとに切なくなります・・・・。
主人公の美大生・哲生は画廊を営む年上の和服美女・晶と恋人同士になるのですが、
哲生は同じ美大に通う華海という晶とは全く違うタイプの女の子に惹かれていってしまい
最後は晶に別れを告げる、という展開です(そんな単純な話でもないけど)。
哲生が自分の気持ちにはっきりと気がつく、
この場面、すごく好き

晶はある時から哲生が華海に惹かれていることを知ってしまいますが
それでも知らないフリをして付き合いを続けています。
哲生が「好きな女性ができた」と告白したときも
サラっと笑顔でそれを受け入れて別れを承諾します。
あくまでも「男に溺れていない大人の女性」なんですね、表面上は。
でも本当は深く哲生を愛しています。
別れを告げられた翌日の朝の晶の夢・・・・
切なすぎてつらいよぅ・・・・

別れの後、自分の部屋で哲生と鉢合わせたときに
晶は思わず想いを吐露してしまうんですよね。
(華海を好きになってしまったことを)なんでわざわざ言うのよ!
私を騙したままでいてくれればいいのに!
素知らぬフリをしていつものように部屋に来てくれていればよかったのに!
みたいなことを言うんです。
私はここを読むたびにすごく考えてしまうのですが、
今は特に考えちゃうんですよね・・・・。
晶は
「彼が自分ではない女性を好きでいてもいいから
そんなこといちいち私に言わないで
何事もなかったように今までと同じように知らないフリして
一緒にいてくれればいいのに」って思っているんだよね。
私にはその考え、ないから
すごいなぁって思ってしまいます。
もちろん本当に知らないままならいいんですけれど、
知っちゃったけれど、でも会っているときだけはこのままおだやかに
顔を見て話して見つめ合って睦みあっていればいい・・・・
そんなの私だったら苦しいよ~~~!
知ってしまったらつらいじゃん。
この人はあちらにもこういうことをしているのか、とか考えちゃうじゃん。
会っていても「今、こうして抱き合っていても彼女のことを考えているんじゃないのかな」って思っちゃうじゃん。
晶には
愛情や「特別な優しさ」を
あちらとこちらに分け合われることの虚しさって、ないのかな・・・・・・・
それってすごいことだよな。
私は耐えられない。
本当に苦しい。
そんなことされるなら
私のことはいっそ捨ててくれって思う。
だって
私はナンバーワンよりもオンリーワンがいい。
オンリーワン願望が強いんですよね。
晶が望む状況は「ナンバー2」じゃん。
そんなのはつらすぎて死んじゃうから
晶のように「知らないフリをしたまま付き合う」という選択は私にはない。
はっきり言ってもらって別れた方がいい。
でも晶はそういうことじゃなくて
「その時その瞬間の二人の時間」だけ見ていられるのでしょうね。
哲生が今、何を考えているのか、とかそんなのは一切考えない、
たった今自分と一緒にいてくれている
というその現実だけを感じて幸せだと思える・・・・。
それが愛なのかなんなのか、なんてどうだっていいと思ってる。
哲生が華海を好きだとしても
哲生との時間を愛しているからそれでいい・・・・。
と書きながらちょっと泣けてきました。
彼の愛情と優しさは私だけのものじゃないんだ、とか
オンリーワンじゃないのか、とか
そんなことにとらわれずに
何も考えず、ただその時間だけを純粋に愛しいと思えたら
どんなに幸せだろう・・・・・。
愛する人が私だけのものではなくても
私が目の前にいるこの人を愛していて、
この人がたった今、私を見つめてくれて、私を抱きしめてくれている。
それだけで十分だと思えたら
ああ、どんなに幸せだろうか・・・・。
そうなりたいと今、私は心から思います。
こんな風に思う晶だもんね・・・。
すごいなぁ。

そんなふうに思えないなれない自分にもYESじゃ!

夏の前日は表紙もいいんだよねぇ・・・・。
この絵も大好き。